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カワイコンサート NO.2234
山岸ルツ子ピアノリサイタル 開催レポート
巨匠ベルマン最後の弟子 ロマン派のピアニズムを奏でる
2015年10月2日(金) 開場18時00分 開演18時30分
会場:海老名市民文化会館小ホール(神奈川県)
10月2日、海老名市文化会館にて山岸ルツ子さんをお迎えしてカワイコンサートが開催されました。山岸さんは以前2006年にもこのホールでカワイコンサートを行っています。今回9年ぶりに再び演奏される事となり、特別な思いでこの日を迎えられたとお話して下さいました。その特別な思いを19〜20世紀ロマン主義音楽に焦点をあてたプログラムに込めて、ショパン、リスト、ラフマニノフの作品を演奏して下さいました。
前半のプログラムは、初めにショパンの作品が演奏され、1曲目にポロネーズ第1番を聴かせて下さいました。激しくエネルギーに溢れた音色で始まり、一気にショパンの世界に引き込まれました。ポロネーズのリズムにのせて、音色を使い分けながら次々と美しいフレーズを歌い上げていく演奏に、1曲目からとても優雅な気持ちになりました。
次にバラード第1番が演奏され、緊張感のある出だしと、その後にふっと現れる切なく哀しげなメロディが新たなショパンの世界へと引き込んでくれました。どのような難しいパッセージでも、美しい上品な音色で演奏されていたのがとても印象的でした。
続いて、リストの作品に変わり、初めにエステ荘の噴水を演奏して下さいました。キラキラと輝く音色、心が安らぐような音色、重厚感があり壮大さを感じさせる音色を響かせ、風景やまたリストがこの曲に込めた思いを伝えて下さるような素敵な演奏でした。
次にラ・カンパネラを演奏して下さり、繊細で美しく奏でられたピアノの音色に感動しました。SK−EXから響き渡るピアノの音色は絶品でした。
後半のプログラムは再びショパンで始まり、初めにノクターンOp.2を演奏して下さいました。まるで優しく語りかけているかのような演奏に、心地のよさを感じました。
次にポロネーズ第6番「英雄」を演奏され、華やかに力強く前進する様子は、前半に演奏された第1番との違いも感じる事ができ楽しむ事ができました。
続いてはラフマニノフの作品に変わり、初めにクライスラー作曲/ラフマニノフ編曲の愛の悲しみが演奏されました。ショパン、リストの作品とは全く違うお洒落な響きが別世界へと引き込んでくれました。落ちついた雰囲気で始まり、次第にエネルギーを増し力強く華麗に変化していくこの曲を、魅力的に演奏されていました。
次に音の絵より Op.39−6「赤ずきんちゃんと狼」、Op.39−9楽興の時より、Op.16−1、Op.16−4が演奏されました。楽興の時 Op.16−4は、ロマンテックな部分と嵐のような激しさがある部分のコントラストを繊細なpppから迫力のあるffffで見事に奏でられ、聴いていてとても気持ちが興奮しました。プログラムの締めくくりに相応しい情熱的で素晴らしい演奏でした。
アンコールでは、ショパンの作品からエチュード第5番「黒鍵」とノクターン第20番遺作も演奏して下さいました。とても美しい音色で奏でられたノクターンは、天から光が差してくるかのようでした。最後の音の響がホールから静かに消え、山岸さんが演奏からときはなたれた時、夢からさめたように会場中から沢山の拍手がおこり、素敵な雰囲気の中コンサートが終わりました。
山岸さんの様々な演奏を沢山聴く事ができ、とても贅沢で素敵な時を過ごせたコンサートでした。
神奈川事務所 川崎 美有紀
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