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カワイコンサート NO.2233
松本和将 ピアノリサイタル開催レポート
若き巨匠、渾身のベートーヴェン!!
2015年9月20日(日) 開場13時30分 開演14時00分
会場:
岡崎市シビックセンター 4F コンサートホール コロネット(愛知県)

 

 

 愛知県岡崎市シビックセンター・コンサートホール「コロネット」にて、9月20日(日)松本和将ピアノリサイタ ルが行われました。秋らしい気候となったシルバーウィークでしたが、コンサートは大勢のお客様で大変盛況となりました。

 オー ル・ベートーヴェンプログラムで、前半はソナタNo.8「悲愴」で始まり、No.9 Edur、そしてNo.14「月光」、後半はNo.6 Fdur、そしてNo.23「熱情」でした。

 松 本さんの演奏はどの曲からもベートーヴェン作品に打ち込んだ熱い思いが感じられ、大きな息使いと流れの中でうたわれる豊かな音色、豊かなイマジネーショ ン、大変男性的な迫力あるピアニズムの世界にぐっと引き込まれました。

 途 中松本さんによるコメントで、ソナタは1楽章ずつでなく、全楽章で1つの大きな物語になっている。今回のプログラムも有名な3大ソナタに加え、前半ではNo.9 Edurで爽やかな風を…後半ではNo.6 Fdurで田園的な安らぎと生き生きとした喜びを…とよく練られた流れでコンサート全体が大きなドラマチックな物語であるかのように楽しめるものでした。

 ま ずc mollの悲愴では重苦しい苦悩の中で喘ぎながらもそこから脱却しようとするベートーヴェンの強い精神性が伝わり2楽章での静かな安らぎは柔和な伸びやか な音色で温かくうたわれ、3楽章はとても流動性を持ってまとめられていました。

 No.9 E durは弦楽四重奏で聴く機会もありますが、各声部の対話や調和が心地良く、穏やかでとても軽やかなタッチ、絶妙なバランスで表現され楽しめました。

 そして「月光」ではcis mollの悶々とした葬送を思わせる1楽章をモノクロの世界で静寂の中張り詰めた緊張感でうたわれ、2楽章ではほっとする明るさで救われるも束の間、終楽 章は嵐のごとく激しく…その音楽物語を豊かな音色と幅広い表現力でエキサイティングに演奏されました。

 後半No.6 Fdurは調性感からも温かみのある音色で、快活ですが最後に曲は一転して「熱情」f mollへ、ソナタの傑作でもありベートーヴェンの「運命の動機」が支配する大変ドラマチックなソナタを大きなスケールで多感に演奏され圧巻でした。

 1楽章の力強い精神性を音楽の中に呑めり込みながら熱く表現し、2楽章 ではハーモニーを大切にコラール風の落ち着いたメロディをどこか懐かしさが滲み出るような音色でうたわれているようにも感じられました。

 続けて終楽章はまさに情熱が荒れ狂う嵐のようにピアノの底鳴りする迫力 あるffが男性の音楽だと感じずにはいられない熱演ぶりでした。

 鳴り止まぬ拍手の中、アンコールではシューマンのトロイメライとブラー ムスの間奏曲p118-2。ドイツ・ロマン派の2大作曲家の名曲をベートーヴェンとは又違った音色で、トロイメライは大変静かな音楽の中に夢見る温もりを 感じブラームスの小品ではクララに対する心の奥深くにある叶わぬ恋心を何とも言えぬ音色で内面的に深くうたわれていました。

 秋の日の一日、エネルギッシュで多感なピアニストの豊かな音楽に浸れた 喜びを感じ、大変心地良さの残るコンサートでした。

カワイ音楽教室 愛知事務所 講師 村松ゆかり

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