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カワイコンサート NO.2194
岡田 奏 ピアノリサイタル 開催レポート
2013年7月26日(金) 18:30開演
会場:函館市芸術ホール(北海道)

  

 函館出身の「岡田奏」さんは、15歳で単身渡仏、パリで学び7年目となる彼女が今回はどのような音楽を届けてくれるのか、期待に胸が高鳴ります。

 コンサートは、フランスの作曲家ラモーの「ソローニュのひなどり」から始まりました。ピアノが愛らしいテーマを歌い、観客に優しく語りかけると、やがて華やかな16分音符の旋律が明瞭なタッチで綴られ、皆の心が弾みました。

 次のラフマニノフの「コレルリの主題による変奏曲 作品42」では、ヴァイオリンの物悲しい語りを彷彿させるピアノタッチで歌い始め、次から次へと作曲者が狂気ともいえる手法で隠したテーマを、今度はいとも鮮やかに紐解いて響かせ、私たちを魅了するのです。ラフマニノフがこの曲のインスピレーションを受けたリストの「スペイン狂詩曲」を、若干二十歳の彼女が全身全霊で演奏していたのを鮮明に覚えています。あれから2年、更に磨かれたテクニックを駆使したクリアな演奏は、観客を瞬時に釘付けにしました。

 そして、前半の最後に演奏されたアンリ・デュティーユの「ピアノソナタより第三楽章コラールと変奏曲」へと続きます。この現代曲に至っても、彼女の自在な両手は鍵盤上を躍動し続け、色彩感あふれるフランス音楽の今を存分に届けてくれたのでした。

 コンサートの後半は、「エリザベート王妃国際コンクール」セミファイナルでエル=バシャ氏に絶賛された、シューマンの「子供の情景 作品15」から。今回は、全体的に若干アップテンポでまとめられていましたが、毎回色々なアプローチを試されているとあって、また新鮮な演奏でした。弱音のピアノ〜ピアニッシモの響きはこの上ない美しさでした。

 最後に、リストの「ダンテを読んで〜ソナタ風幻想曲」が演奏されました。ここで岡田さんは、その力をどこに残していたのかと思われるほどの精神力と確かな技術に裏づけされた演奏力で、地獄・煉獄そしてその対極にある天国を描きます。彼女がヨーロッパでその歴史と宗教、文化を吸収し、日々身体で感じた質感を余すことなく表現するその圧倒的な演奏は、世界を舞台に活躍するピアニストがここ函館に誕生した証ともいえるでしょう。

 アンコールはショパン/幻想即興曲、子犬のワルツ。ビゼー:ホロヴィッツ/カルメンでした。

 コンサート後、岡田さんから「SK-EXも、大久保英質氏の調律も大変素晴らしく、とても気持ち良く演奏することができました。」と感謝の言葉を頂戴しました。そこに、ピアノの良さを最大限に引き出すことの出来るピアニストの存在なくしては、ピアノリサイタルの三位一体は語れません。まさしく、上質なコンサートの在り方を垣間見た一日で、お客様もニコニコ顔で会場を後にしました。

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