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カワイコンサート NO.2187
関本昌平ピアノリサイタル 開催レポート
2013年5月21日(火) 19:00開演
会場:アクトシティ浜松中ホール(静岡県)

  

  関本昌平さんといえば、第5回浜松国際ピアノコンクールで第4位に入賞されたことで、浜松市民にも大変馴染みの深いピアニストです。コンクールから10年経ち、待ちに待った浜松公演が5月21日(火)、アクトシティ浜松 中ホールで開催されました。

  今回のプログラムはドイツ3大Bの作品に加え、定評あるショパンの組み合わせ。

  まず前半は、ショパンの《舟歌》で幕を開けました。左手の穏やかな流れにのって、右手のメロディーが艶やかな曲線を描きます。終始、集中力が高く、客観的な演奏、中心が全くぶれない中で、多彩な表情が紡ぎ出されました。

次は、ブラームスの《4つの小品》作品119。今回、3大Bの作品については、関本さんご自身が解説されましたが、驚いたことに、このブラームスでは1曲ごとに丁寧にお話してくださいました。本来は4曲続けて世界観を作りたかったのでは…と思いますが、それにも増して“作品の背景を理解し、より深く楽しんでほしい”という熱意が勝ったということでしょう。そのため、演奏者と聴衆の一体感が生まれました。

  演奏は、第1曲の心の奥に染み入るような美しさ、第2曲の不安定さと穏やかさの対比、第3曲の無邪気なかわいらしさ、そして終曲の躍動感溢れる若々しいラプソディー…と、それぞれの曲のキャラクターが、照明が変わるように鮮やかに映し出され、大変魅力的でした。

  前半最後は、ショパンの《英雄ポロネーズ》。それまでの完璧にコントロールの行き届いた演奏から一転、ここではその均衡を打ち破るような情熱ほとばしる演奏で、会場が一気に熱気を帯びました。

  後半は、バッハの《トッカータ》BWV911から。実際は“トッカータとフーガ”といえる大規模なこの作品を、見事な構成感で堂々と、しかも自由さを失わず生き生きと操っていたのが印象的でした。

  プログラム最後は、ベートーヴェンの《ソナタ第28番》作品101。“絶望を乗り越え、前向きに生きる”という関本さんの解釈が、全楽章途切れることのない大きな流れの中ではっきりと立ち昇り、最後は聴く側も内からエネルギーを引き出されるような感覚で、会場が大きな感動に包まれました。

  鳴り止まない拍手に、アンコールは、限りない優しさに満ちた《間奏曲》作品118-2と、遊び心溢れる《子犬のワルツ》の2曲。

  全体として、作品に対する深い愛情と理解、それを具現化する卓抜なテクニック、確固たる自信が感じられ、非常に格調高い、正統派の演奏という印象でした。関本さんの作り出す世界に、聴衆も大いに魅了されていました。

浜松事務所  杉山園実

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