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カワイコンサート NO.2162
迫 昭嘉 ピアノリサイタル 開催レポート
2011年6月22日(水) 19:00開演(18:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール(東京都)

  

 今年一番の暑さに見舞われたこの日、さくらホールいっぱいの聴衆はこれから始まるコンサートへの期待でさらに熱い気持ちになっていた。

 そしてベートーヴェン最後のソナタが始まったその瞬間、我々の目と耳はステージ中央の迫昭嘉さんに釘付けにされた。途切れることのない集中力で堂々と演奏された第1楽章。続く2楽章の穏やかさはベートーヴェンが長い苦悩を通り抜けたが故に見た希望であろうか。 

 続けてドビュッシーの「映像」第1集。やわらかな響きの中にも、大切なメロディを絶妙なバランスで浮かび上がらせ、とても良い演奏だった。

 休憩時間、ロビーではベートーヴェンピアノソナタ全集、他のCDが販売されお気に入りの一枚を探し求める人々で混雑していた。

 休憩後に演奏されたのは、レスピーギの「リュートのための古風な舞曲とアリア」。こんなに素晴らしいピアノ用編曲を聴く事が出来た私たちは幸せだ。迫さんならではの端正で透明な響きに惹きつけられいつしか中世イタリアに迷い込んでしまったよう。皆がよく知っているシチリアーナでは切ないほどに美しいメロディが装飾されながら盛り上がってゆく様子に会場中が感動したに違いない。リストはコンサートの最後に相応しくダイナミックで立派な演奏だった。人間の心の深い部分をどのように表現するのか。音楽に携わっている意味を改めて考えさせられた貴重な一夜となった。

 さて、迫さん自身がメッセージの中で “ 時を超えて生き続けるこの作曲家たちの「想い」を少しでも皆様と共有できれば ”と言っているのが印象的だ。この日使われたカワイコンサートグランドEXは表現の幅が広く、そんな迫さんの願いを十分に叶えたのではないかと思う。

 終演後ロビーにはサイン会を待つ人達の長い列ができ、現れた迫さんは再び温かい拍手で迎えられた。             

カワイ音楽教室 城南事務所講師 二瓶初枝

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