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カワイコンサート NO.2147
岸 美奈子 ピアノリサイタル 開催レポート
2010年6月24日(木) 18:30開演(18:00開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:川口リリア音楽ホール(埼玉県)
6月24日、川口にあるリリア音楽ホールにて、岸美奈子ピアノ・リサイタルが開催されました。岸さんは、2006年に東京藝術大学を卒業され、現在は後進の指導にあたりながら、演奏活動を行っている、若手ピアニストです。
まずは、ベートーヴェンの《ピアノ・ソナタ第3番》Op. 2-3。和声の変化をうまく描き分け、また3度やオクターヴが連続するような技巧的なパッセージも、軽々と弾きこなし、とても堂々としたコンサートの幕開けでした。
続くラヴェルの《ソナチネ》では、透き通る美しい音色で旋律が浮き立つ、立体的な響きが非常に魅力的でした。
前半の最後は、サン=サーンス《エチュード Op. 111-6 第5協奏曲のフィナーレによるトッカータ》でした。これは、実に華やかで技巧的な作品です。鍵盤を目まぐるしくも軽やかに両手が行き交う中から、品の良い音楽が立ち上がるさまに、会場からは感嘆の声も上がっていました。
後半は、今年生誕200年を迎えたショパンの人気作が並びました。《スケルツォ 第1番 ロ長調》Op. 20は、音楽の流れがよく考えられていて、とくに余韻の残し方が絶妙でした。一変し、《ノクターン 変ニ長調》Op. 27-2では、しっとりとした美しさで聴かせていました。続くエチュード3曲は、弱音ペダルを効果的に用いた美しい「エオリアン・ハープ」、黒鍵上を軽快に駆け巡る「黒鍵」、そして情熱的な「革命」と、どれも特徴がよく表れた名演でした。
そして、最後は《ポロネーズ 変イ長調》Op. 53「英雄」。とくに印象的だったのは、スケールの大きさです。豊かで力強いフォルテから繊細なピアノまで、ポロネーズのリズムに乗せてのびのびと表現されていました。
聴衆からの盛大な拍手に応え、アンコールもショパンの作品から2曲、《パガニーニの思い出》と《幻想即興曲》が演奏されました。抜群のテクニックと表現力を兼ね備えた岸さんの演奏は、聴くものを幸せにしてくれる力があるように感じられました。
(M. K.)
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