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カワイコンサート NO.2146
海老彰子 ピアノリサイタル 開催レポート
2010年6月23日(水) 19:00開演(18:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:東京 津田ホール(東京都)
満員の津田ホールは、独特な熱気に包まれていました。日本を代表するピアニストの1人、海老彰子さんのリサイタルが開かれるからです。数々のコンクールでの入賞、世界各国でのリサイタル、アルゲリッチら巨匠との共演と、ピアニストとして輝かしい道のりを歩んでおられる海老さん。オール・ショパンの魅力的なプログラムを、どんな風に聴かせてくださるのでしょうか。赤の素敵な衣装でステージに登場した海老さん。《即興曲》の軽やかな音色が会場に広がっていきます。優れたピアニストはしばしば、最初の1音で会場の空気をガラリと変えてしまうものですが、海老さんの演奏もまた、そのような不思議な魅力をもっており、聴き手はじっと静まり返り、海老さんの演奏に集中して耳を傾けていました。音色のパレットも非常に多彩で、《即興曲》第1番では軽やかで優雅に歌いますが、《即興曲》第2番や《ノクターン》第3番と第16番では柔らかな響きで優しく語りかけるなど、コンサート・グランドピアノ「Shigeru Kawai」の能力を存分に発揮した演奏を繰り広げていました。
一方、《バラード》第1番、《舟歌》、《ソナタ》第2番などのパワーと体力が要求される作品での圧倒的なテクニックと気迫も素晴らしいものでした。とりわけ最後の《ソナタ》第2番の白熱の演奏は感動的で、海老さんが創り出すスケールの大きな世界に引き込まれました。全体を通して素晴らしい演奏を繰り広げた海老さんには、盛大な拍手と花束がおくられました。鳴りやまない拍手に応え、アンコールにはスカルラッティの《ソナタ》ニ長調、ショパンの《ノクターン》作品48−1、《練習曲》作品25−1、《ノクターン》作品15−1を演奏、リサイタルを締めくくりました。
海老さんによるショパンの世界を満喫できた、大変内容の濃い演奏会でした。今年はショパンの生誕200年ということで、世界各地でオール・ショパンの演奏会が開かれていますが、本日の海老さんのリサイタルは、質の高さ、選曲の良さにおいて、特に際立っていたと思います。これからも素晴らしい演奏を聴かせていただきたいと思います。
(M.S.)
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