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カワイコンサート NO.2137
島田彩乃 ピアノリサイタル 開催レポート
2010年5月15日(土) 14:30開演(14:00開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:慶應義塾藤原洋記念ホール(神奈川県)
慶應義塾大学日吉キャンパスの藤原洋記念ホールで、島田彩乃さんのピアノ・リサイタルが開催されました。ソロはもちろんのこと、室内楽やオーケストラとの共演など、幅広い活動をなさっている島田さん。本日は、今年生誕200年に当たるショパンの傑作《バラード》全4曲の他、バッハ、ハイドン、ドビュッシーとヴァラエティに富んだ作品を聴かせて下さいました。
ステージに登場した島田さんが最初に演奏した作品は、バッハの《フランス組曲》第3番。宮廷での舞曲を思わせるような、格調高い旋律を美しい音色で演奏していきます。ピアニッシモの繊細な音色も、とても心地よく客席まで届いてきました。
続くハイドンの《ソナタ》ハ長調Hob.XVI-50は、バッハとは対照的に軽く、さわやかな音色を響かせます。まるで子供が無邪気に遊んでいるかのような、楽しい演奏でした。曲調に合わせてピアノの音色を自在に変えて演奏する島田さんの技量はさすがです。
前半最後はドビュッシーの《前奏曲集》第2集より、4曲を抜粋して演奏されました。「霧」「ヴィーノの門」「ヒースの茂る荒野」「花火」と、それぞれが島田さんの演奏を聴いただけで情景が目に浮かぶようです。とりわけ「霧」と「花火」での浮遊した不可思議な音色が印象的でした。前半はそれぞれに演奏様式が異なる作品でしたが、島田さんがピアノ1台で聴かせる多様な世界は実に見事なものだったと思います。
休憩をはさみ、後半は本日のメインプログラムであるショパンの《バラード》全4曲です。それぞれが非常に高度なテクニックと表現力を要される傑作で、全4曲を続けて演奏するというのは、並大抵のことではありません。島田さん自身、この4曲の演奏を「自分への挑戦」と語っており、今回のコンサートへの意気込みが伺えました。朗々と物語を語るかのように始まる第1番、美しく穏やかな部分と激しくせきたてるような部分の対比が印象的な第2番、舞曲のような優雅な響きに満ちた第3番、複雑な声部が絡み合いながら圧倒的な世界を繰り広げる第4番と、どの作品も朗々と歌いながら、ショパンの壮大な世界を創り上げていきました。今回の演奏会は、どの曲も完成度が高く素晴らしかったですが、とりわけこの《バラード》全4曲の熱演には、お客様も圧倒されつつ聴き入っていたようです。
非常に充実した素晴らしい演奏を聴かせて下さった島田さんに、客席からは熱心な拍手がおくられました。終演後も演奏会の熱気は冷めることなく、サイン会では大勢の方々が列を作って並んでいました。是非またの機会に島田さんの演奏を聴いてみたいと思います。(M.S.)
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