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カワイコンサート NO.2151
阿部裕之 ピアノリサイタル
2010年10月8日(金) 19:00開演(18:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:京都コンサートホール アンサンブルホール ムラタ(京都府)
10月8日、京都コンサートホールで阿部裕之さんのピアノリサイタルが催されました。小ホール前の渦まき状の通路には、開場前からコンサートを心待ちにしている人々の長い列が続き、500余ある客席は、ほぼ満席になりました。プログラム前半は、ショパンの≪ノクターンホ長調 作品62‐2≫と≪ソナタ第3番ロ短調 作品58≫が演奏されました。終始ぶれることのない姿勢、非常に静かなペダリング。ショパンの演奏にありがちな、過度ともいえるルバートや派手な動きに頼らず、真摯に音を追及される姿を拝見し、音楽に対する誠実さ、ピアノへの深い慈しみをみた気が致しました。
休憩をはさんだ後、平井京子さんの≪アダージョとアレグロ≫、シマノフスキの≪メトープ 作品29≫より第1曲≪セイレーンの島≫。続いて、ラヴェルの≪鏡≫全曲が演奏されました。
どの作品も美しいのは言うまでもないことですが、≪鏡≫では ピアノの音色がいっそう輝きを増し、まさに水を得た魚のような躍動感を覚えました。延々と繰り返される速いアルペジオの滑らかさ、印象的に入る旋律の奥深い響き、クリスタルのような、という言葉では表現しきれないほどの多彩な輝きを放つ音色。ラヴェルの作品に定評がある阿部さんならではの、格別の演奏でした。≪鏡≫の第3曲≪洋上の小舟≫、アンコール曲の≪夜のガスパール≫第1曲≪オンディーヌ≫と今回は演奏されなかった≪水の戯れ≫をひとまとめにして“ラヴェル水シリーズ”と称する人もいるそうですが、是非とも合わせて聴く機会を得たいものです。
演奏会終了後のサイン会では、CDを手に阿部さんを取り囲んだ人々と和やかに挨拶を交わされ、お客様の方は演奏会後の興奮がまだ冷めやらぬ様子で、その場に留まっていらっしゃいました。
素敵な夕べのひとときを胸に温めつつ、会場を後にしました。どうもありがとうございました。
京都事務所 旭 美樹子
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