岡田将ピアノリサイタル開催レポート

カワイコンサート NO.2140
岡田将ピアノリサイタル開催レポート
2010年5月21日(金) 19：00開演（18：30開場）
主催：カワイ音楽振興会
会場：石川県立音楽堂（石川県）

　

　5月21日ピアニスト岡田　将さんをお迎えし、ピアノリサイタルが開催されました。会場は、この日を楽しみにしていた来場者で２階席までいっぱいとなり、親しみやすいプログラムに、小学生ぐらいの年齢の子供達の姿も多く見られました。

　プログラムは、ベートーヴェンのソナタ第21番ハ長調作品53「ワルトシュタイン」から始まりました。力強い男性的なタッチ、しかし温かみのある深い音色が、エネルギッシュで壮大な第1楽章にはまり、ぐんぐんと演奏に引き込まれていきました。第2楽章では、優しくやわらかい音色での美しい序奏部に始まり、スケールの大きな主部へと移っていき、広大な草原の中にある大きな城、戦・・・など、次々と頭の中に情景が広がっていくようなワクワクするような演奏でした。

　続いて、また大曲である、シューベルトの傑作、幻想曲ハ長調「さすらい人幻想曲」を演奏してくださいました。この曲もやはり温かみのある深い音色に満ち溢れ、情熱的で、しかし即興性に富んだユニークな部分もあり、最後まで作品の中にどっぷりはまってしまう、すばらしい演奏でした。

　第2部は、オールショパンのプログラムで、名曲ばかり！第1部で大曲を2曲続けて聴いた子供達も、席からぐっと身を乗り出すように、目を輝かせて聴き入っている姿が印象的でした。1曲目は、プログラムのワルツ第3番を変更し、ワルツ第1番変ホ長調。そしてノクターン変ホ長調作品9-2、幻想即興曲嬰ハ短調作品66と名曲が続き、プログラムの最後はポロネーズ変イ長調作品53「英雄」。これで満足しない観客はいないであろうと思われる贅沢な演奏とプログラムでした。最後に岡田さんの口から、「英雄ポロネーズ」はこのコンサートのために初めてさらったという話を聞いて、さらにびっくり！！

　鳴り止まぬ拍手に応えてのアンコールは、シューマンの「トロイメライ」。そしてリストの「愛の夢第3番」。オールリストの作品でCDデビューをされていることもあり、「愛の夢」が奏でられた時は、会場に喜びのざわめきが起こりました。そして演奏後には、聴き惚れた後のウットリとした深いため息が聞こえるようでした。それでも鳴り止まない拍手に、最後にはご自身でピアノのふたを閉められ、笑顔で一礼。最後まで欲張りな私達を満たして頂き、本当にありがとうございました。

　カワイ音楽教室講師　西井紀美子

　