千葉県柏市の柏アミュゼ・クリスタルホールにて、カワイコンサート2009加野瑞夏ピアノ・リサイタルが開催されました。柏でのカワイコンサートは久しぶりの開催。大変楽しみにしていました。
ハイドンの「アンダンテと変奏曲」で幕を開けたコンサート。哀愁漂う第1主題と、愛らしい第2主題が織りなす変奏が、色彩豊かな音と豊かな表現で徐々に私たちを感動の中へと引き込んでいきます。
2曲目は、ベートーヴェンのピアノソナタの中でも最も人気のある「月光」。静謐な美しさからフィナーレへ向けて徐々に熱気、緊迫感が伝わってきます。
次に演奏されたメンデルスゾーンは今年生誕200年。記念の年に「無言歌」から3曲と「プレリュードとフーガ」が演奏されました。プレリュードでは控えめに、しかしきめ細やかに弾かれる伴奏に、哀愁を帯びた旋律が奏でられます。フーガでは反復する音、音型、スケール各々のモティーフが、巧みなテクニックで支えられクライマックスに向かっていきます。加野さんの精神力の光った演奏でした。
休憩後は、2008年ロベルトシューマン国際コンクールで優勝した加野瑞夏さんのシューマンです。
付点のリズムがロマンティックに軽快に始まる「アラベスク」。加野さんのシューマンの世界に引き込まれます。「フモレスク」とは、喜び、悲しみ、笑い、涙など様々な感情が交差した状態を言うそうです。8つから成り立つ作品を、次々に気持ちを変化させ、多彩な音色と高度なテクニックで豊かな情緒と機知に満ちた演奏を聴かせて下さいました。
アンコールは、やはりシューマンでした。子供の情景から「トロイメライ」、森の情景から「予言の鳥」。幸せな時間でした。
加野さんは、ほがらかで、とてもチャーミングでいらして、演奏後「気持ちよく演奏できました」と、スタッフにも温かい言葉をかけてくださいました。
コンサートを終え、2日後には留学中のベルリンに戻られる加野さん。今後のご活躍を楽しみにしています。
カワイ音楽教室 柏事務所 講師 長江 典子