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カワイコンサート NO.2121
松本和将 ピアノリサイタル開催レポート
2009年5月28日(木) 19:00開演(18:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:つくば市ノバホール(茨城県)

繊細なピアニズムとダイナミックな演奏で聴衆を惹きつける注目のピアニスト、松本和将さんによるオールショパンプログラム。ご本人の司会を交えながらプログラムは進められました。

1曲目のスケルツォ第1番ロ短調で、衝撃的な出だしの和音からの幕開け。この一音で聴衆の心をとらえて一気にショパンの世界へと引き込みました。「ショパンの一般的なイメージを壊そうと、この曲を最初に持ってきた」とおっしゃっていましたが、まさにねらい通りになったと思います。

ショパンの女性的な面と男性的な面の対比を伝えるために、今日のプログラミングをしたとのことですが、続いては一転、女性的な面を持つ美しい音の魅力にあふれたノクターンを3曲演奏してくださいました。透明感のある繊細な音色、装飾句の輝く音の響きの中で、ショパンのあるがままの姿を伝えてくれるような演奏でした。

4曲披露されたエチュードでは、立ち上った音が降り注ぐような「エオリアンハープ」や力強く情熱的な「革命」が印象的で、ここで前半の幕を閉じました。

後半は、ショパンのポロネーズ全17曲中、最高傑作のひとつといわれる嬰へ短調Op.44から演奏されました。中間部のマズルカはまるで在りし日のポーランドでの平和な日々がふっと垣間見えるようで心に残りました。

続いて広く親しまれているワルツが3曲演奏されました。様々な色、香りを感じて聴きましたが、その余韻のまだ残っているうちに最後の「英雄ポロネーズ」の序奏が始まり、それがガラッと世界が変わるような劇的な効果を生み出していました。この演奏でピアニスト、客席共に気持ちが高まり会場は大きな熱気に包まれました。松本さん自身、演奏後に、「とても気持ちよく弾けた。今までの人生で何本かの指に入るほどの演奏ができた。」とコメントをもらすほどの名演でした。

ピアノという楽器を自在に操り、そこから生み出される表現が聴衆の胸を打つ素晴らしい演奏内容だったと思います。

アンコールでは、CDに収録されている吉松隆の「聖歌の聞こえる間奏曲」が演奏され、独特の世界観を感じさせる美しい弱音がピアノから解き放たれると、会場は静寂に包まれました。最後の音が鳴り止み、残響が消えた後でホールは大きな拍手に満ち溢れました。
アンコールはこの一曲でしたが、ショパンの音楽の余韻を心に残す締めくくりとなったのではないでしょうか・・・。

終演後のサイン会では、一人ひとり丁寧にお話をされていて、松本さんの誠実で明るいお人柄が伝わってきました。最後まで聴衆を満足させてくださり、心に残るリサイタルとなりました。 アンコール 吉松隆 聖歌の聞こえる間奏曲

カワイ音楽教室 茨城事務所 坂紀乃

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