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カワイコンサート NO.2120
イリーナ・ザハレンコヴァ ピアノリサイタル開催レポート
2009年5月27日(水) 18:30開演(18:00開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:川口総合文化センター リリア音楽ホール(埼玉県)

 この度、カワイコンサートにご出演のため、エストニアの若きピアニスト、イリーナ・ザハレンコヴァさんが来日されました。5月27日には川口でピアノ・リサイタルを開催。各国でピアノやその他の鍵盤楽器を学ばれ、広範なレパートリーをお持ちのザハレンコヴァさんのリサイタルに、多くのお客様が集まりました。

 プログラムは、J. S. バッハの《イギリス組曲 第2番》BWV 807で始まりました。これは組曲なので、いくつかの舞曲楽章から成りますが、特徴的なのは冒頭の協奏曲風の〈プレリュード〉でしょう。イ短調の毅然とした主題での始まりは、ザハレンコヴァさんの音楽に対する真摯な姿勢の表れであったように感じます。続く舞曲楽章は、どれも物言えず涙が流れるような多感で美しい演奏でした。

 次はモーツァルトの《ソナタ 第13番》K. 333です。ザハレンコヴァさんは、この曲をペダルを軽く踏みながら演奏していたようです。その効果は、右手の旋律も左手の分散和音も少しずつ響きが残っていくのですが、これはモーツァルトの生きていた時代のピアノの音色を表現していたのだと思います。(この時代、ウィーンのピアノ製作は試行錯誤を繰り返し、いろいろな音色のピアノがありましたが、概して残響は多かったのです。)現代のピアノだからこそできる新しいモーツァルトの響きは、説得力ある、完全な演奏でした。

 前半最後は、ベートーヴェンの《ソナタ 第10番》作品14-2です。ベートーヴェンならこう弾くだろう、と思わせる奔放さと力強さをもつ演奏でした。それでいて、シルクのようになめらかな音の連なりは本当に美しく、筆者はしばらく聴きほれていました。

 休憩をはさみ、後半はスカルラッティの《ソナタ》2曲とブラームスの《ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ》です。バッハと同時代に生きたスカルラッティの曲は、軽やかな雰囲気で演奏されました。またブラームスは、ヘンデルのテーマとこれに基づいた25の変奏とフーガから成る曲です。トリルで優雅に飾られたテーマと、それぞれに表情豊かな変奏は、次から次へと聴き手の興味を誘っていきました。そして最後のフーガの、知的に構築された音の世界と、オーケストラのような分厚い音の作りは感動的でした。

 長身でチャーミングな笑顔の素敵なザハレンコヴァさんの、音楽への確固たる信念が伝わる演奏に魅了された一夜となりました。

(T.)

 身の丈と同じ位の大きなお花を持ってきてくれた、可愛らしいファン。

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