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カワイコンサート NO.2135
佐藤卓史 ピアノリサイタル 開催レポート
2009年10月30日(金) 19:00開演(18:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:ふくやま芸術文化ホール(広島県)
青く澄んだ秋晴れの空が印象的だった10月30日、ふくやま芸術文化ホールにて、佐藤卓史さんのピアノリサイタルが開催されました。佐藤さんは、2007年のシューベルト国際コンクールにおいて第1位、そして昨年のシドニー国際コンクールにおいては、“SK−EX”を使用されての第4位ならびに最優秀ショパン作品演奏賞を受賞とこれからの活躍が大変期待されるピアニストです。
リサイタルの幕開けは、ヘンデルの「調子の良い鍛冶屋」 耳馴染みの良いこの曲で佐藤さんの若さあふれる生き生きとした音に誘われ、夢の世界へと引き込まれました。変奏が進むにつれ曲も複雑になっていきますが、各声部がそれぞれの音色で表現されていたので輪郭がはっきりと伝わりました。
続いて佐藤さんが「一番好き」とおっしゃる作曲家シューベルトの「ピアノソナタイ短調 作品42 D.845」 まず出だしのテーマが大変印象的でした。ペダルを駆使され、それぞれにあった響きで演奏され、シューベルトを堪能しました。
休憩をはさみ、後半はショパンを3曲。「英雄ポロネーズ」は前半のプログラムとは違った勇ましいタッチ、そして中間部はさらに勢いを増し、圧倒された後にくる甘美なメロディは一層甘美に、この対比が見事でした。「子守歌」もただただきれいで惹きつけられ、「舟歌」の最後の部分では、右手の華やかだけれど静かなパッセージに、どこか遠くから聞こえてくるような左手の可憐なメロディとのコントラストが素晴らしく今日一番の収穫でした。
そして最後は、各楽章がそれぞれ異なる性格を持つソナタ、プロコフィエフの「ピアノソナタ第7番 戦争」でした。第1楽章では、不協和音がなぜかきれいに聴こえ、第2楽章では少しストイックな歌わせ方で音色も多彩、第3楽章はモーターリズムを難なく弾きこなされ、リズム、メロディ、すべてが全開のクライマックスには圧倒されました。
客席からの鳴り止まぬ拍手に優しい穏やかな笑顔で応えられ、アンコールにショパン「夜想曲第20番レント コン グラン エスプレッシオーネ」「タランテラ op43」シューベルト「楽興の時 第6番 作品94−6」の3曲を演奏していただきました。
佐藤さんのお人柄と同じ・・・とても優しい穏やかなピアノの音色にひきつけられた2時間でした。30代、40代と年齢を重ねられていく佐藤さんのこれからの演奏が楽しみです。これからのさらなるご活躍を期待しています。
カワイ音楽教室<講師> N.T.
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