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カワイコンサート NO.2130
萬谷衣里 ピアノリサイタル開催レポート
2009年10月10日(土) 18:30開演(18:00開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:姫路キャスパホール(兵庫県)
10月10日姫路キャスパホールにて関西出身のピアニスト、萬谷衣里さんのピアノリサイタルが開催されました。萬谷さんは東京藝術大学卒業後、ロストック音楽・演劇大学で研鑽を積まれ、数々のピアノコンクールにも多く入賞されている注目のピアニストです。最初はバッハの平均律、スカルラッティのソナタなどバロック音楽を代表する作曲家たちの曲でした。ばねのあるしっかりとしたタッチで歌われる正確なメロディがとても美しかったです。会場の観客の皆さんがバロックの世界観に一気に惹きこまれていったのを感じました。
そうかと思うと次はショパンのバラード2番、冒頭のハ音のユニゾンの穏やかな序奏が聴こえた瞬間、色彩豊かなロマン派特有の情緒あふれる情景が浮かんできました。落ち着いた第1主題と荒れ狂う嵐のような第2主題が織りなす対照的なメロディが印象的でした。あと、美しい気品を湛えたゆったりしたメロディのノクターンや、高度な技術と芸術的センスを必要とするエチュードを難なく演奏されました。
後半はすべてリストの曲で彼女の本領発揮といった感じを受けました。宗教的な題材名のスターバト・マーテルやアヴェ・マリアを演奏されました。あとリストのピアノ曲の中でも大曲と呼ばれるソナタ風幻想曲「ダンテを読んで」ではオクターブで鋭い下降の音型で始まり、半音階のおどおどしい旋律がいかにも地獄らしいイメージを彷彿とさせられました。そして、もう一つの叙情的に歌われる主題はとても美しくいかにもロマン派だという印象を受けました。スケールも大きく、技巧的にも難しそうな曲を余力を残して弾きこなされていて驚きです。最後にハンガリー狂詩曲第2番を弾かれ華やかに終えられました。
客席からは盛大な拍手が贈られ、アンコールにショスタコービッチの24のプレリュードとフーガより第5番プレリュードとモーツァルトのピアノソナタ第11番イ長調K.331第3楽章トルコ行進曲の2曲を演奏していただきました。トルコ行進曲はよく知られている曲だけにピアノを習っている小さなお客さんにも大好評でした。
この日はとても素晴らしい演奏が聴けて楽しく満たされた日を過ごすことができました。また素敵な演奏を聴かせてほしいと思います。
カワイ音楽教室 姫路事務所 〈講師〉 飯塚 真帆
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