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カワイコンサート NO.2116
イリーナ・ザハレンコヴァ ピアノリサイタル開催レポート
2009年5月22日(金) 19:00開演(18:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:アクトシティ浜松中ホール(静岡県)
今回のカワイコンサートはエストニアを代表する若手ピアニスト、イリーナ・ザハレンコヴァさんをお迎えし、5月22日(金) アクトシティ浜松中ホールにて開催されました。この日あいにくの雨にもかかわらず、開演時には約1000人を収容するホールは聴衆でいっぱいになりました。
〜当日のプログラム〜
J.S.バッハ イギリス組曲 第2番 イ短調 BWV807
W.A.モーツァルト ソナタ 第13番 変ロ長調 KV.333
L.v.ベートーヴェン ソナタ 第10番 ト長調 作品14−2
D.スカルラッティ ソナタ ハ長調 K.49
D.スカルラッティ ソナタ ト短調 K.43
J.ブラームス ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ 作品24曲はバッハのイギリス組曲第2番の厳格なプレリュードから始まり、安定したテンポ、確実なタッチの中にもザハレンコヴァさん独特のテーマを表情豊かに歌う演奏が大変印象的でした。2曲目は多くの人が耳にした事のあるであろうモーツァルトのソナタ。ここでもフレーズの隅々まで丁寧に歌い上げる演奏が素晴らしく、緩やかな2楽章もその素晴らしい歌心で聴衆を飽きさせることなく曲は終楽章へと進んでいくのですが、モーツァルトのイメージを残しつつも彼女の個性溢れるソナタが綺麗にまとめられていました。
次に驚かされたのが3曲目のベートーヴェンのソナタ。これまでのタッチ、雰囲気が一変しベートーヴェンらしい力強くヴィルトーゾな演奏が繰り広げられ、それはまるで弾き手が変わったのかと錯覚させられるくらいのもので、このような所からもバロックから現代音楽までと幅広いレパートリーをお持ちだということが想像できるでしょう。
休憩を挟みスカルラッティのソナタが2曲演奏されると、続けて今回のメインともとれるブラームスの作品へと進み、プログラムのみからではなく、彼女の演奏そのものからこの作品が今回のリサイタルのメインであることが伝わるほどの迫真の演奏でした。バロック・古典を得意とする彼女の奏でるヘンデルの主題と、表情豊かに歌う彼女のロマン派スタイルのブラームスが見事にマッチし、変奏曲が徐々に高揚してフーガへと移っていく部分は聴衆をも弾き手の世界へと巻き込み、新たな1つの世界が生まれたような感覚でした。
全ての演奏が終わると、鳴り止まぬ拍手に応えてアンコールにラフマニノフの前奏曲作品32−5、23−2を演奏して下さったのですが、彼女のラフマニノフはやはり想像通り力強くかつロマンティックで、何より祖国ロシアの作品を演奏して下さったということが感動的でした。これから更に世界中でご活躍されるであろうザハレンコヴァさんの演奏を生で聴くことができ、何よりあっという間で素敵なひと時でした。
浜松事務所 栗田竜次
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