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カワイコンサート NO.2109
ロマン・デシャルム ピアノリサイタル開催レポート
2008年10月16日(木) 18:30開演(18:00開場)
主催:(株)河合楽器製作所
会場:海老名市文化会館 小ホール(神奈川県)

 10月の秋の夜も一段と深まる宵のころ、海老名市の文化会館でフランスきってのピアニスト、ロマン・デシャルムさんのリサイタルがありました。まだ20代という若さで各国でのリサイタルをこなしており、今回、カワイコンサートで演奏されることになりました。沢山のお客様が、今日という日を本当に待ち望んでいたようでした。

 当日のプログラムパンフレット、「デシャルムさんからのメッセージ」に有るように、今回のプログラムは「カラーの違うドイツとフランスの曲」がテーマになっています。それにしても名曲ぞろい。期待は高まります。

 前半はドイツもの。まず第1曲はワーグナーの楽劇≪トリスタンとイゾルデ≫からのアリア部分をリストがピアノ用に編曲した≪イゾルデの死≫で、私たちを圧倒しました。管弦楽による原曲を彷彿とさせるテクニックはもちろんのこと、ピアニッシモの上品な甘さに聴き手はとろけてしまいそう。クライマックスではホールの全空間がこのピアニストの華麗な演奏で充たされ、天にも昇りそうな気分になりました。

 第2曲はシューマンの謝肉祭。<前口上>でゴージャスな幕開けです。この曲の要求する最大の速度で、しかしまったく正確に弾かれたことは、感嘆以外の何ものでもありません。どの曲もドイツ的ロマンに浸らせてくれる、研ぎ澄まされた感性に基づく完璧な演奏でした。

 入念な調律が施された休憩後は、お待ちかねのフランスものの時間です。なんと、デシャルムさん、赤いシャツにお召し替え。気分も新たに、後半はラヴェルの≪高貴で感傷的なワルツ≫を自然体で熱演。これぞフランス!とも言うべきユーモア、ウィット、優雅さ、センスは、このデシャルムさんにしか表現できません。次のフォーレ≪舟歌 第1番≫も絶品。左手の舟の浮かぶ様子を表すリズムは、鍵盤上の空気に浮くかのように軽やかな演奏です。

 再びラヴェルの曲を弾く際、デシャルムさんは丁寧な日本語で次に弾く曲の説明をなさいました。もともとはJ. シュトラウスに献呈するつもりだったが、第1次大戦を通じて音楽が変わってしまったというのです。なるほど、ワルツの品格ある形を残していながらもおぞましいほどの情景がありありと見えてきました。ピアノの演奏であることを忘れさせるほどの(これも元はオーケストラのために書かれました)この迫力!

 これだけの贅沢に浸ることができたのに、誰しも「もっと聴きたい!」と思っていたはずです。デシャルムさんはそんな私たちにショパンの≪子犬のワルツ≫とスカルラッティのソナタ、ホ長調を聴かせてくれました。どちらも究極の速さでありながら、音楽性豊かな演奏。完璧なアンコールでした。

 終演後はサイン会が開かれ、握手や写真を求められるなどの人気ぶり。今後もぜひデシャルムさんの演奏を聴きたいです!

  サイン会の様子。

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