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東京藝術大学ランチタイムコンサート2020-2021
<音楽学部1年生によるピアノジョイントリサイタル Vol.9>
出演:米倉 令真 & 和田 征士 開催レポート
2021年3月30日(火) 12:00〜13:10(11:20開場)
会場:カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」
9回にわたる東京藝術大学学部1年生によるジョイントリサイタルシリーズの最終回が開催されました。本日もチケットは完売と、厳しい状況下でもお客様の期待を受けて盛況を博しています。本日のプログラムは、ピアノの性能が最大限に拡大した19世紀のブゾーニ、リストによるピアニストによる作品をメインとされていました。多くのステージをこなし、楽器を知り尽くした偉大なピアニストによる大作は、身体的なテクニックの熟練や持久力、ピアノの鳴らし方からパフォーマンスの見せ方まで総合的な能力を要します。
米倉令真さんは、ショパン《ノクターン》作品27-2で、長い呼吸で丁寧に紡がれた伴奏が効果的に旋律の煌めきを引き立てます。和声や対位法といった西洋音楽のシステムがピアノ、ピアニストという媒体を通して肥大化したバッハ=ブソーニ《シャコンヌ》は、細部まで省略することなく丁寧な音作りがされていて、聴く人の感性にも働きかける魅力的な演奏でした。
和田征士さんは、20世紀アルゼンチン生まれの作曲家ヒナステラによる最初期の作品《3つのアルゼンチン舞曲》より第2曲「粋な娘の踊り」で、率直な音色の美しさで印象を残します。かわっては、リストの精神の修練がヴィルトゥオーソとして作品へと昇華された《巡礼の年》第2年「イタリア」より終曲「ダンテを読んで−ソナタ風幻想曲」の演奏で観客を圧倒しました。
作品の規模に怯むことなく果敢に、また真摯に向き合い、確かに形にされたお二人のピアニストの姿勢は多くのお客様に希望を与えたことと思います。
(M.S.)
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