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嵯峨 歌連 & 松岡 真里奈 ピアノジョイントリサイタル 開催レポート
《 東京音楽大学 表参道 サロンコンサートVol.53 》
2021年3月10日(水) 17:30開場 18:00開演
会場:カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」
《 東京音楽大学の学生によるサロンコンサートのシリーズVol.53は、嵯峨歌連さんと松岡真里奈さんのピアノジョイントリサイタルが開催されました。4年間の学生生活を共に過ごしたお二人。最後の1年間はコロナの影響で、授業やレッスンを直接受けたり、聴衆の前で演奏したりすることが難しい状況となってしまいましたが、そんな中で開催された当夜のリサイタルは、将来きっと大切な思い出になることと思います。
リサイタルの前半は嵯峨歌連さん。ポーランドの作曲家でプログラムをまとめました。
1曲目、ショパンの「ノクターン第17番 ロ長調 Op.62-1」では、幸福感に満ちた調べに、暗い影、深刻な不安が忍び寄ります。細やかに散りばめられた装飾音符が美しく、幻想的な展開をみせました。2曲目はショパンの傑作「バラード第4番 へ短調Op.52」。淀みなく、情熱を込めて演奏されました。
3曲目はシマノフスキの「変奏曲 変ロ短調 Op.3」。深い哀愁を帯びたテーマが、ときに技巧的に、ときに色彩豊かに、様々な趣向を凝らして変奏されていきます。華やかな変奏、静かに歌うような変奏とコントラストに富んでいて、素晴らしい演奏でした。
アンコールはプーランクの「即興曲 第8番 イ短調」。きびきびしていて個性的で、とても素敵でした。
リサイタル後半は松岡真里奈さん。ノルウェーの作曲家、グリーグでまとめたプログラムでした。
1曲目は「叙情小曲集」より、第5集ハ長調Op.54-4『ノクターン』。北欧の自然そのもののような空気感を感じました。凍てつく寒さ、青い海と複雑な地形の入江、険しい山々、そして静寂。目を閉じて聴きたいですね。
2曲目は同じく「叙情小曲集」より、第8集ニ長調Op.65-6『トロルドハウゲンの婚礼の日』。婚礼を祝う村人たちの、盛大な宴の様子を連想しました。陽気に歌って踊って、喜びに溢れて。中間部の甘いデュエットは、新たな人生を歩み出す若い二人の対話でしょうか。ピアノの演奏効果はリズミカルで華やか。会場の雰囲気が盛り上がりました。
3曲目は「ピアノ・ソナタ ホ短調 Op.7」。グリーグ唯一のソナタです。憂いと激しさの第1楽章、穏やかな旋律に心惹かれる第2楽章、悲愴感を湛えた第3楽章、希望へと向かう堂々たる第4楽章。見事な演奏でした。
アンコールもグリーグで、「叙情小曲集」より、第7集ホ長調Op.62-6『家路』。民族色の豊かな、明るい楽曲で締めくくりました。
嵯峨歌連さんと松岡真里奈さんの今後のご活躍を楽しみにしています。
(H.A)
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