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ニューアーティスト・アフタヌーンコンサート2021開催レポート
Vol.2 出演:原 沙綾・重森 光太郎・竹田 理琴乃 開催レポート
2021年3月9日(火) 14:00〜16:00(13:20開場)
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 若く優秀なピアニストたちによるジョイントリサイタル・シリーズとして親しまれているニューアーティスト・コンサートが、このシリーズから《アフタヌーンコンサート》としてリニューアルされ、全6回で行われます。その第2回目は、原 沙綾さん、重森光太郎さん、竹田理琴乃さんが出演されました。

 

 最初の原さんは島根県出身。東京藝大附属音楽高校を経て、同大4年在学中(演奏時)、卒業試験で同声会賞を受賞。この4月から同大大学院に進学。

 原さんの1曲目は、J.S.バッハ「平均律クラヴィーア曲集 第1巻 第16番 ト短調 BWV861」。端整なプレリュードと、主旋律と対旋律との対比がきちんとできているフーガで、とても好感の持てる演奏でした。

 2曲目はショパンの「エチュード イ短調Op.25-11『木枯し』」です。冒頭の木枯しの前兆と、激しく木枯しが吹き荒れる様子との対比がとてもいい具合でした。

 最後はベートーヴェンの「ピアノソナタ 第31番 変イ長調 Op.110」。ベートーヴェン最晩年の作品ですが、原さんの演奏からは初々しささえ感じられ、爽やかな印象を受けました。ホールの響きに合わせた音の出し方を良く心得ているようで、強音でも強く叩かずに豊かな響きを出します。第3楽章のAdagioの部分では気持ちから入っているようで、弱音でも豊かに響かせました。Fugaでは、1曲目のバッハが回帰したような感じを抱かせる端整な弾き方です。「嘆きの歌」には思いが込められているようでした。静から次第に動へ、強音になっていっても響きの豊かさで表現しました。優しさのあるベートーヴェンに感じられました。

 

 2人目の重森さんは、桐朋学園大学に特待生で入学し、3年在学中(演奏時)。2017年第1回Shigeru Kawai国際ピアノコンクールで最年少ファイナリスト奨励賞受賞をはじめ、2019年第9回安川加壽子記念コンクール第1位など様々なコンクールで多数入賞しています。

 重森さんのプログラムはオール・ショパンで、「ノクターン ロ長調 Op.62-1」でスタート。優しさ、柔らかさに溢れたノクターンでした。

 次に「エチュード ヘ長調 Op.10-8」と「エチュード ホ短調 Op.25-5」です。ヘ長調では細かい音の粒がよく転がって小気味良く、ホ短調では細かい動きの上にメロディーがしっかり乗っていて、音楽としてとても面白い演奏でした。

 続いて「3つのマズルカ Op.50」《1.ト長調》《2.変イ長調》《3.嬰ハ短調》です。舞曲を芸術作品に高めた作品ですが、いずれも土臭さがなく洗練されていながらも、舞曲であることをきちんと表現していて、聴いていて楽しめました。

 最後は「舟歌 嬰ヘ長調 Op.60」です。静かな水面から漕ぎ出し、やがて少々波が出てきてもゴンドラの揺れ具合がたゆたうようにゆったりと進みます。波に煌めく光の様子も窺えます。最後はしっかりとしたタッチで締め括った素敵な演奏でした。

 

 3人目の竹田さんは、ポーランド国立ショパン音楽大学を首席で卒業、京都市立芸大大学院修士課程を首席で修了、大学院市長賞を受賞。第17回ショパン国際ピアノ・コンクールでディプロマ受賞の他、国内外のコンクールで多数の受賞歴があります。

 竹田さんもオール・ショパン・プログラムで、1曲目は「ノクターン 変ホ長調 Op.55-2」です。音の響かせ方も上手く、間の取り方、フレーズ感がとても素晴らしい演奏でした。

 続いて「エチュード」を2曲、「イ短調 Op.25-11『木枯し』」と「変ホ長調 Op.10-11」です。『木枯し』では、冒頭の嵐の前の静けさから突然吹き荒れる木枯し、このメリハリがとても利いていました。細かい音の粒も揃っていて、とても素晴らしい演奏でした。Op.10-11は、『木枯し』とは対象的に穏やかな弾き方で、柔らかく、それでいてしっかりと芯のある音を響かせていました。

 次は「マズルカ」を2曲。まず「嬰ト短調 Op.33-1」では、とても質の良い音で、実に優しいマズルカを聴かせてくれました。「ニ長調 Op.33-3」では、リズムがとても良く、メリハリもしっかり利いていて、気持ちの良い演奏でした。間の取り方も絶妙です。

 最後は「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ Op.22」です。アンダンテの部分は非常に優しく、間の取り方も良く流れるような演奏で、ポロネーズの部分は実に歯切れよく、楽しそうに演奏しています。豊かな響きの低音も素晴らしく、メリハリも最高で、躍動感もありました。

 

 3名ともまた聴きたくなる演奏を披露してくれました。更なる活躍が楽しみです。

(K.Y.)

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