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東京藝術大学ランチタイムコンサート2020-2021
<音楽学部1年生によるピアノジョイントリサイタル Vol.7>
出演:藤田 凜太郎 & 町永 拓也 & 峰尾 知里 開催レポート
2021年3月5日(金) 12:00〜13:10(11:20開場)
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 本日は東京藝術大学音楽学部1年生によるランチタイムコンサートシリーズも、いよいよ終盤となりました。Vol. 7となる本日は、藤田凛太郎さん、町永拓也さん、峰尾知里さんのお三方による饗宴となりました。プログラムには卓越した技巧を必要とする楽曲がならび、改めてこの若いピアニスト達によるシリーズの、レベルの高さが窺えます。

 最初に演奏された藤田凛太郎さんが採り上げたのは、リスト《巡礼の年》の中でも、リスト自身が3曲続けて演奏するようにと指示を加えた〈第2年への補遺「ヴェネツィアとナポリ」〉。緩やかな波を想起させる〈ゴンドラを漕ぐ女〉、ロッシーニのオペラの一場面を用いた〈カンツォーネ〉、鋭敏な音とリズムが印象的な〈タランテラ〉と、大きく性格の異なる3曲ですが、藤田さんは安定した技術と立体的な音楽創りとで、この曲集を見事に表現されていました。一糸ぶれることのない指運びからは、本番に向けて音楽を丹念に創り込んできた様相が窺えました。

 次に演奏された町永拓也さんは、ショパンの人気曲《バラード》第1番と、リストがショパンをオマージュして書いた〈葬送 1849年10月〉(《詩的で宗教的な調べ》より)を組み合わせるという、興味深いプログラムでした。力強い音色が印象的な町永さんは、まず《バラード》でショパンの情熱と哀愁に溢れた世界を存分に表現された後、さらに〈葬送〉で「リストの描いたショパン像」を迫力たっぷりに表現されていました。会場にはピアノ曲に詳しいお客様も多かったようで、〈葬送〉でショパンの楽曲をもじったパッセージが出てくるたびに息を呑む方々もいらっしゃいました。

 最後に演奏された峰尾さんは、繊細ながらも芯を感じる音色で、客席を惹き込んでいらっしゃいました。プログラムに選ばれたのは、ラヴェルの最も技術的に難しいレパートリーの1つ《夜のガスパール》でした。第1曲〈オンディーヌ〉では、微かに聞こえる水音から荒ぶる波まで、「水の精」というタイトルにちなんだあらゆる水の表情を見せていらっしゃいました。続く第2曲〈絞首台〉では作品の元となったベルトランの詩の通りの不気味な情景を、緊張感の漂う音楽創りで表していました。第3曲〈スカルボ〉は非常に速いテンポでの演奏でしたが、その中で妖魔の自由な戯れを、軽やかながらもコントラストの効いた音色で表現されていました。

 このランチタイムコンサートシリーズはあと2回となります。引き続き若いピアニストの皆様の魂のこもった演奏を、楽しみたいと思います。

(A.T.)

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