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桐朋学園 ランチタイムコンサート2020-2021 in 表参道
<音楽部門在籍生によるピアノジョイントリサイタル Vol.5 >
出演:田中 琴 & 佐藤 和大 & 和泉 茉莉 開催レポート
2021年2月3日(水) 12:00〜13:10(11:20開場)
会場:カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」
桐朋学園の音楽部門在籍生によるピアノジョイントリサイタル全5回の第5回目は、田中 琴(こと)さん、佐藤和大(まさひろ)さん、和泉茉莉さんの3人によるジョイントリサイタルです。3人共桐朋学園大学4年在学中で、同大学主催のStudent’s Concertに出演しています。
田中 琴さんは、東洋英和女学院高等部を卒業。高校時代には大阪国際音楽コンクールやかながわ音楽コンクールなどで非常に優秀な成績を収め、かながわ新聞社社長賞などを受賞。2015年文科省による「トビタテ!留学JAPAN」の第一期生としてウィーン国際音楽ゼミナールに参加、16年には(公財)東京都私学財団より文化・スポーツ活動賞を受賞しています。
田中さんの1曲目は、ブラームスのピアノ・ソナタ 第3番 へ短調 Op.5より第1楽章です。クリアなタッチで、ブラームスの重厚な音を響かせます。構成感もしっかりと持っているようで、力強くきっちりとしたブラームスを聴かせました。
2曲目はプロコフィエフの「サルカズム Op.17」です。まだ若い頃の作品で、日本語では「風刺」と呼ばれています。皮肉や厭世的な絶望が、グロテスクで尖鋭的に描かれた挑発的な作品です。田中さんは曲の性格のグロテスクさを、不気味さが漂うような弾き方で表現し、強音と静寂とのメリハリも利いていて、とても興味深い演奏でした。
佐藤和大さんは、ニース音楽アカデミーでフィリップ・アントルモン、ミッシェル・ベロフ両氏のマスタークラスを受講。多摩フレッシュ音楽コンサート2018優秀賞を受賞し、19年にソロコンサートを開催。第4回フランス・ピアノ・コンクールで第2位を受賞しています。
佐藤さんの曲目は、ショパンのピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調 Op.58より第1楽章と第4楽章です。鍵盤を強打せずに柔らかい弾き方で音楽を奏でますが、音は豊かに響かせます。細かい音の粒も揃っていて、音楽の流れもあります。強音でも決して鍵盤を叩かず、常に豊かな響きをもって演奏しますので、聴いていて音楽を楽しめました。
和泉茉莉さんは、桐朋女子高校音楽科を経て、桐朋学園大学に入学。第20回リスト音楽院セミナーで最優秀受講生に選出され、ブダペスト・スプリング・フェスティバルでソロ・ピアノ・リサイタルを開催。第6回イモラ・ピアノ・アワードのカテゴリーA第3位、市川市文化復興財団第30回新人演奏家コンクール優秀賞受賞などの受賞歴があります。
和泉さんの1曲目は、グリンカ=バラキレフ編の「ひばり」です。最初は一羽で寂し気に飛ぶひばりが、次第に華やかに飛び回り、最後はまた寂し気に飛んでいく、というような感じを歌心を持って演奏しました。
2曲目は、スクリャービンの「幻想曲 ロ短調 Op.28」。この曲はスクリャービンの初期の最後の作品です。和泉さんの音の出し方には余裕を感じます。強弱のメリハリも利いていますし、強音でも豊かな響きで、スクリャービン独特の音のきらびやかさも感じさせます。
3人共それぞれに個性があり、今後が楽しみな存在です。
(K.Y.)
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