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セルゲイ・ドレンスキー教授 追悼コンサート
Sergei Dorensky Memorial Concert
Vol.2 出演:日高 志野・西尾 真実 開催レポート
2021年1月27日(水) 11:20開場 12:00開演(13:40終演予定)
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 自らも一流のピアニストであり、門下からは数多くの優秀なピアニストを輩出してきたモスクワ音楽院の名教授、セルゲイ・ドレンスキー教授が昨年2月に亡くなりました。2003年以来、「ロシアン・ピアノスクール in 東京」で音楽監督、音楽顧問を務められ、公開レッスンなどで受講生たちに大変有意義な素晴らしいアドヴァイスをしてくださったことは、多くの方の記憶に新しいところでしょう。

 そのドレンスキー教授の追悼コンサートの第2回目が行われました。教授の門下生で、「ロシアン・ピアノスクール」の講師を務めてこられたアンドレイ・ピサレフ、パーヴェル・ネルセシヤン両教授も、モスクワ音楽院で行われたドレンスキー教授追悼演奏会で演奏した際の動画で出演しました。

 ピサレフ教授は、「約40年もの間、この素晴らしい人と交流があったことは大きな幸せでした。……彼が特に愛し、よく演奏していたショパンの作品をプログラムに含みました。……私たちは永久に彼のことを忘れないでしょう。」と亡き教授へのメッセージを述べて、ショパン「夜想曲 第2番 Op.9-2」を演奏しました。さすがに大変素晴らしい演奏で、実に思いのこもったノクターンでした。

 続いてネルセシヤン教授は、「ドレンスキー教授が亡くなったことは、決して忘れられない損失である……演奏、ジョークや指導は全て際立って充実していましたが、人間的な器の大きさが、生徒たちにとって非常に大切なものとして記憶に残っています。」とメッセージを述べ、グリンカの「夜想曲“別れ”」を演奏しました。こちらもさすがの演奏で、胸に切々と訴えかけてくるものでした。

 演奏動画の後は、モスクワ音楽院で研鑽を積んだ若い2人のピアニスト、日高志野さんと西尾真実さんの演奏です。

 まずは日高さんです。日高さんは、第5回エミール・ギレリス記念国際コンクール(ウクライナ)で日本人初優勝及びゴールドメダル受賞、第17回サンノゼ国際コンクール(米国)第2位他、国内外のコンクールで多数入賞。東京藝術大学卒、同大大学院修士課程修了後、文化庁新進芸術家海外研修制度、ローム・ミュージックファンデーションより助成を受けてモスクワ音楽院で研鑽を積み、大学院課程に在籍しながらロシアで本格的な演奏活動を開始。日本国内でもオーケストラと多数共演するなど積極的に活動しています。

 日高さんの曲目は、まずラフマニノフの「コレルリの主題による変奏曲 Op.42」。物思いに耽るような箇所、もやもやしたような思いがよく表されていました。細かく速いパッセージでも柔らかく弾き、力強さも併せ持っています。軽いところ、力強いところの対比が上手く、確かなテクニックに裏付けられているようです。

 2曲目は、追悼コンサートには相応しいと言えるベートーヴェンのピアノ・ソナタ第26番「告別」Op.81aです。この名曲でもしっかりした構成力と表現力で聴衆の胸に響く演奏を披露しました。

 アンコールにアルメニアの作曲家ババジャニアンの「エレジー」を演奏して終了しました。

 休憩後は西尾さんの登場です。

 西尾さんは、桐朋学園大学を卒業後にモスクワ音楽院に留学して最優秀国家ディプロムを取得し、更にイタリアのTalent Music Master Coursesでも研鑽を積んで、2017年に8年間の留学を終えて帰国しました。その間、第15回スクリャービン国際コンクールと第16回マリア・ユーディナ国際コンクールで第1位を獲得、第45回日本ショパン協会賞など、多数の受賞歴があります。国内外でソロ・リサイタルやオーケストラとの共演、テレビやFM放送などにも出演しています。宇都宮短大音楽科及び同附属高校音楽科講師として若手育成にも努めています。

 西尾さんの1曲目は、チャイコフスキーの「四季」Op.37bis より“1月 炉端にて”です。寒いロシアの冬、家の中の暖かい炉端でまどろむような感じを思わせる素敵な演奏でした。

 2曲目はシューマン「クライスレリアーナ Op.16」。もやもやした曲をはっきりとした音、しっかりしたタッチできっちりと表現しました。力強く弾くところと滑らかな表現との対比、間の取り方、曲調の変わり目、気分の変わり目がとても巧みです。確かなテクニックでしっとりとした演奏を聴かせました。

 アンコールにスクリャービンの「エチュード Op.42-5」を演奏して幕を閉じました。

 ドレンスキー教授を追悼する素晴らしいコンサートでした。

(K.Y.)

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