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桐朋学園 ランチタイムコンサート2020-2021 in 表参道
開催レポート
<音楽部門在籍生によるピアノジョイントリサイタル Vol.2 > 

出演:荒井 玲奈 & 尼子 裕貴 & 本多 伊織
2020年10月15日(木) 12:00〜13:10(11:20開場)
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」 

 本日は桐朋学園大学で研鑽を積む若きピアニスト、本多伊織さん、尼子裕貴さん、荒井玲奈さんによるジョイントリサイタルでした。客席にも若いお客様の顔がたくさん見られ、音楽界のこれからを担おうという方々が集う場となっていました。プログラムはすべてシューベルトで纏められ、短い生涯のうちに古典主義からロマン主義への時代の変化を巻き起こしたこの作曲家の魅力を、再認識する機会ともなりました。

 最初に登場された本多伊織さんは、シューベルトの諸作品の中でも最もポピュラーな即興曲集の中から、晩年期に書かれた作品142の第2番と第4番を演奏されました。本多さんの演奏は流暢な音の流れの中にも繊細な音楽創りが見られ、この即興曲の世界観を見事に体現されていました。とりわけ第4番の中間部の光と影が入り混じったかのような音色は、大変美しいものでした。

 次に登場された尼子裕貴さんは、迫力と躍動感のある音色が魅力的であり、シューベルトの若さ溢れる名曲《さすらい人幻想曲》を演奏されました。この作品にはさすらい人の歩みを示唆するかのような音型をベースに、歌曲のモティーフやフーガといった、同時代から過去に遡る様々な音楽要素が詰め込まれていますが、尼子さんはそれらの1つ1つを丹念に読み解き、音楽を大きなストーリーに纏め上げていました。

 最後に登場された荒井玲奈さんは、シューベルトのさらに若い時期の作品であるピアノ・ソナタイ短調を演奏されました。ピアノ・ソナタという伝統的な形式と、シューベルトの代名詞でもある歌曲を彷彿とさせる楽想や、その後のロマン主義時代に主流となってゆくドラマチックな楽想がぶつかり合うこの作品は、弾きこなすのにかなりの労力が必要です。荒井さんの演奏は安定した技術と豊かな表現力のバランスが非常によくとれたもので、この若きシューベルトの力作を、美しく仕上げていらっしゃいました。

 引き続きパウゼでは慎重な感染防止対策が続いていますが、会場は出演者3名の音楽への情熱と、客席の若い方々の活気で、とても活き活きとした様子でした。今後ともパウゼが音楽を愛好する方々を惹き寄せる場所であることを願います。 

(A.T.)

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