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東京藝術大学ランチタイムコンサート2020
<大学院音楽研究科修士課程1年生によるピアノジョイントリサイタル Vol.1>
出演:葛原 寛 & 齋藤 里菜 開催レポート
2020年9月2日(水) 12:00〜13:30(11:20開場)
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 「東京藝術大学大学院音楽研究科修士課程1年生によるピアノジョイントリサイタル」全7回の第1回目が行われました。今回の出演者は葛原 寛さんと齋藤里菜さんのお二人です。

 

 最初は葛原 寛(かつらはら・ひろし)さん。葛原さんは仙台市出身。常磐木学園高校音楽科、東京藝大を経て、現在同大学院修士課程1年に在籍。大学卒業時に同声会賞を受賞。第57回全東北ピアノコンクール第1位及び文部科学大臣賞を受賞しています。これまでに各地でリサイタルや演奏会にも出演しています。

 葛原さんの選曲は、まずブラームスの「8つの小品 Op.76」より4曲、『第1曲 カプリッチョ 嬰へ短調』、『第3曲 インテルメッツォ 変イ長調』、『第7曲 インテルメッツォ イ短調』、『第8曲 カプリッチョ ハ長調』です。第1曲ではしっとりした感じで、ブラームス特有の重苦しさはあまり感じさせません。第7曲では間の取り方がとても上手く、第8曲では盛り上がるところでも力まず、自然な感じで演奏しました。全体的にブラームスの優しさの面が感じられるような演奏でした。

 次はリストの「ピアノ・ソナタ ロ短調 S.178」。強音でも鍵盤をガンガン叩かない弾き方、テクニックはあってもそれをこれ見よがしにひけらかさない演奏の仕方が好感を持てます。内面を訴えるようなリストで、余力を残した演奏に感じました。大ホールでの演奏とは違った、会場に合った弾き方を心得ているのでしょう。

 アンコールにドビュッシーの「12のエチュード」より『4度音程のために』を演奏して終了しました。

 

 齋藤里奈さんは、東京藝大附属音高、東京藝大を経て、現在同大学院修士課程1年在籍。第1回K二重奏コンクール最高位、第27回彩の国・埼玉ピアノコンクールF部門金賞・審査委員長賞などを受賞しています。

 齋藤さんのプログラムは、まずショパン晩年の3曲からなる「マズルカ Op.59」。『Op.59-1 イ短調』ではものうげな感じが漂います。『Op.59-2 変イ長調』では溌剌とした明るい感じを上手く表現していました。『Op.59-3 嬰ヘ短調』はよく演奏される曲ですが、指も良く回り、メリハリの利いた演奏でした。晩年のショパンの名曲をとても上手くまとめている感じがしました。

 次はシューマンの20の小品からなる「謝肉祭──4つの音符による面白い情景 Op.9」です。「4つの音符」は、結ばれなかった当時の恋人の出身地“Asch”と“Schumann”の名前に含まれる音名になる文字“A、S(Es)、C、H”(曲によって“As、C、H”)の4音です。

 決然とした『1.前口上』の堂々とした演奏で始まり、『2.ピエロ』『3.アルルカン』でのメリハリの利いた演奏、『4.高貴なワルツ』での音の保ち方の巧みさ、シューマンの空想上の団体「ダヴィッド同盟」の登場人物で、シューマン自身の分身とも言える、ゆったりした『5.オイゼビウス』と、激しさのある『6.フロレスタン』の弾き分けも見事でした。『11.キリアーナ』『12.ショパン』『13.エストレラ』と曲(人)の対比も上手く、テンポの速い束の間の『19.休息』から、最後の『20.ペリシテ人と戦うダヴィッド同盟の行進』へなだれ込むように入り、堂々とした演奏で盛り上がリを見せました。飽きさせない面白い演奏でした。

 アンコールにシベリウスの「樹々の組曲」から『もみの木』を演奏して幕を閉じました。

(K.Y.)

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