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ニュー・アーティスト ランチタイムコンサート2020 in 表参道
開原 由紀乃 & 片田 愛理 & 齊藤 一也
ピアノ・ジョイントリサイタル 開催レポート
2020年8月7日(金) 12:00開演(11:20開場) 14:20終演予定
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」
使用ピアノ:カワイフルコンサートピアノ SK-EX

 これから羽ばたこうとする若く優秀な演奏家を紹介するニューアーティスト・ランチタイムコンサート2020 in 表参道。この日の出演者は、開原由紀乃さん、片田愛理さんと齊藤一也さんの3人です。

 最初に登場したのは、広島県福山市出身の開原由紀乃さん。開原さんは、東京藝大附属音高、同大学を経て、同大学院修士課程を首席で修了。修了時にクロイツァー賞、藝大クラヴィーア大賞、大学院アカンサス音楽賞などを受賞しています。現在はベルリン芸術大学に在学中です。

 開原さんが選んだ曲目はオール・ショパン。最初に「4つのマズルカ Op.17」を演奏。1曲目(第10番 変ロ長調)の堂々としたマズルカでは、メリハリの利いたリズム感が大変心地良く響きました。ワルツを思わせるような2曲目(第11番 ホ短調)では抒情的な感覚も漂わせます。第3曲(第12番 変イ長調)では細かい音の動きも素晴らしく、第4曲(第13番 イ短調)では憂鬱な暗い感じを漂わせ、ショパンの特徴の一端が良く表現されていました。

 次の「エチュード Op.10-8 ヘ長調」では、テンポの速い16分音符のパッセージが課題の曲ですが、良く指も回り、見事な演奏でした。

 続いて「ノクターン」を2曲、ハ短調 Op.48-1とホ長調 Op.62-2です。前者ではショパンの憂いをよく掴んで表現し、後者ではゆったりした甘いメロディーと情熱的なパッセージとを巧く弾き分けて自然な流れを作っていました。

 最後は「舟歌 ヘ長調 Op.60」です。間の取り方がとても上手く、たゆたう感じもよく表現されていて、ゆったりと聴けた演奏でした。

 2人目は片田愛理さん。片田さんは、東京音大ピアノ演奏家コース・エクセレンスを首席で卒業し、現在はウィーン国立音大大学院に在学中です。第6回スクリャービン国際ピアノ・コンクール(パリ)で第1位を獲得するなど、いろいろな国際コンクールで入賞して海外でも活躍しています。

 片田さんの選曲はモーツァルトとショパン。まず最初は、モーツァルトの「フランスの歌《ああ、お母さん聞いて》による12の変奏曲 ハ長調 K.265」です。音の繋がりは滑らかで、細かい音も粒立ち良く、変奏曲の面白さを感じさせてくれました。

 2曲目はショパンの「ワルツ 第5番 変イ長調 Op.42」。躍動感のある溌剌とした演奏で、楽しいワルツでした。

 3曲目はモーツァルトの「ロンド イ短調 K.511」。細かい音の動きがクリアで、ゆったりしたところとのバランスも良い、落ち着いたしっとりとした演奏でした。

 最後はショパンの「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ 変ホ長調 Op.22」。アンダンテの部分の音の出し方がとても良く、間の取り方も自然で心地良く聴けました。ポロネーズは溌剌としていて、強弱のメリハリもしっかりした、気持ちの良い演奏でした。

 最後に登場したのは齊藤一也さん。齊藤さんは、東京藝大附属音高、同大学を経て、パリ国立高等音楽院とベルリン芸術大学を最優秀の成績で修了しました。第8回カンビジョス及び第7回マッサローザ国際ピアノ・コンクールで優勝するなど、内外のコンクールで数多く入賞したり、ファイナリストなどになっています。東京藝大附属音高の非常勤講師として後進の指導もしながら、国内外のオーケストラとの共演やリサイタルなど、既に演奏活動も行っています。

 齊藤さんが選んだ曲は、ショパンの「24の前奏曲 Op.28」全曲です。

 『第1番 ハ長調』から音の出し方もニュアンスも素敵で、流れるような感じです。『第2番 イ短調』や『第7番 イ長調』では間の取り方も素晴らしく、『第3番 ト長調』や『第10番 嬰ハ短調』での細かい音の動き、速いパッセージも見事でした。テクニックも必要な『第8番 嬰ヘ短調』の速く激しい動きもとても滑らかでした。『第15番 変ニ長調“雨だれ”』ではルバートも見事で間の取り方も良く、盛り上がりも聴かせました。最後を締め括る『第24番 ニ短調』では、強く激しい和音とメロディーが聴き手を引き込みました。全体を通して飽きさせない佳演でした。

 実力もあり、個性豊かな3人のピアニストの今後がとても楽しみです。

(K.Y.)

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