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坂本 彩 & 鈴木 鞠奈 ピアノジョイントリサイタル 開催レポート
《 東京藝術大学 表参道 フレッシュコンサート Vol.57 》
2020年2月14日(金) 18:30開場 19:00開演
会場:
カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

 2月14日の《東京藝術大学表参道フレッシュコンサートvol.57》は坂本彩さんと鈴木鞠奈さんによるピアノジョイントリサイタル。

 

 前半は坂本さんが、シューマン=リスト《献呈》、《春の夜》、シューマン《天使の主題による変奏曲》、プロコフィエフ《バレエ音楽「ロメオとジュリエット」より10の小品Op.75》を演奏されました。シューマンの歌曲集をピアノ独奏用にリストが編曲した《献呈》、《春の夜》は、希望に満ちた楽想で、花のつぼみがふくらみ咲くような、華やかで色彩感あふれる坂本さんの演奏が心に残りました。穏やかな表情を持つ《天使の主題による変奏曲》に続いて、早朝の街に活気が出てくる情景を軽快に表現したロミオとジュリエットの〈情景〉で雰囲気が一変しました。10の作品から第2、3、4、6、10曲を選曲され、明朗な音で、遊び心のある、時にロマンティックな曲の魅力を引き出し、感情が動く演奏でした。

 

 後半の鈴木さんは、ワーグナーの歌劇《トリスタンとイゾルデ》をリストがピアノ独奏に編曲した《イゾルデの愛の死S.447》、ゴドフスキー《ショパンのエチュードによる53の練習曲》より第5番、第34番、リスト《巡礼の年第1年「スイス」S.160》より第9番〈ジュネーヴの鐘〉、第6番〈オーベルマンの谷〉を披露されました。和音が落ち着く間なく変遷していく《イゾルデの愛の死》を、多彩な音色を絶妙にコントロールし表現されました。ゴドフスキーの第5番は有名なショパン「別れの曲」を左手独奏にアレンジしたものですが、左手のみの演奏に感じられない音の立体感と重厚感があり、和音の構成音を丁寧に弾き分ける高度な技術で曲をまとめられました。柔らかな陽の光が差し込むように始まり、終始鳴り響く鐘と曲の雰囲気を保ち続ける集中力が印象的だった〈ジュネーヴの鐘〉に続き、とめどなく流れてくる感情(苦悩)が表現された〈オーベルマンの谷〉の、空間一杯に音を放ち会場を振動させたドラマチックな演奏に魅了されました。

 

 アンコールにでは、レーガー《6つのワルツ》より第1番を息のあった連弾を披露され、リサイタルは締めくくられました。

(W.T.)

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