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下岡 萌々子 & 水野 魁政 ピアノジョイントリサイタル 開催レポート
《 東京音楽大学 表参道 サロンコンサートVol.48 》
2020年
2月13日(木) 18:00開場 18:30開演
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 

 

 《東京音楽大学 表参道 サロンコンサート Vol.48》は、同大ピアノ演奏家コース2年生の下岡萌々子(したおか・ももこ)さんと、同大ピアノ演奏家コース4年生の水野魁政(みずの・かいせい)さんによるジョイントリサイタルです。

 前半は下岡萌々子さん。冒頭のJ.S.バッハ「トッカータ ハ短調 BWV911」から、見事な集中力でした。即興的なパッセージで緊張感を高め、美しいアダージョを経て、俊敏で長大なフーガへと、流れるように進行。生き生きとしたバッハが、とても魅力的でした。

 そして、シューマンの名曲「フモレスケ Op.20」。甘く儚く、夢見がちに始まるこの楽曲は、実に気まぐれで、どこに行ってしまうか分からない危うさをもっていますが、その難解な楽曲を弾きこなすセンスが光っていました。思い切り笑ったと思ったら、すねたり、涙したりと、ありとあらゆる感情が次から次へと溢れ出てきますが、テクニックも素晴らしく、巧みにまとめあげられていました。下岡さんはまだ2年生。これからが楽しみです。

 後半は水野魁政さんで、ハイドンの「ピアノ・ソナタ 変イ長調Hob.??:46」から。優美な第1楽章、やさしい気持ちに満ちた第2楽章、明瞭な第3楽章で、軽やかなスタートです。

 続いて、リストの「演奏会用大独奏曲 S176」は、起伏の大きな、抜きん出てドラマティックな様相をみせていました。当夜配布された『プログラム・ノート』(それぞれ演奏者が書きました)によりますと、リストの代表作である、あの「ピアノ・ソナタ」の前身作品のひとつとのこと。高度なテクニックを駆使した、ダイナミックな演奏でした。

 最後はスクリャービンが晩年に向けて到達した、“神秘和音”を用いた前衛的な作品が演奏されました。「2つの詩曲 Op.69」と「詩曲『焔に向かって』Op.72」。響きの印象としては、あたたかな空気を含んだような熱っぽい音色といいましょうか。音型もリズムも、かなり実験的であると思いました。時に破滅感まで感じさせる、意味深な作品。挑戦的な選曲ですね。水野さんはこの春の卒業後、留学されるとのこと。ますますの飛躍を楽しみにしたいです。

 アンコールは連弾で、プーランク(Julian Vogel編)の「シテール島への船出」。素敵なワルツで会場を魅了しました。

(H.A.)

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