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澤辺 明音 & 奥村 志緒美 ピアノジョイントリサイタル
開催レポート
《 東京藝術大学 表参道 フレッシュコンサート Vol.56 》
2020年1月17日(金) 18:30開場 19:00開演
会場:
カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

 1月17日の《東京藝術大学 表参道フレッシュコンサートvol.56》は、澤辺明音さんと奥村志緒美さんのご登場です。

  

 前半の澤辺さんは、バッハ《イタリア協奏曲 BWV971》、モーツァルト《フランスの歌「ああ、お母さん聞いて」による12の変奏曲(きらきら星変奏曲)K.265》、グリュンフェルト《ウィーンの夜会 ヨハン・シュトラウスのワルツ主題による演奏会用パラフレーズOp.56》、ラヴェル《ラ・ヴァルス》を披露されました。2段鍵盤のチェンバロ独奏曲として、協奏曲を表現したバッハ《イタリア協奏曲 BWV971》を明朗で伸びやかに、モーツァルトの「きらきら星変奏曲」を快活に鍵盤の広域を活かして奏でる、澤辺さんの心地よい音色に惹きつけられました。大河を思わせる豊かな表現でグリュンフェルト《ウィーンの夜会》を演奏し、ラヴェル《ラ・ヴァルス》では雲が立ち込めるような複雑なニュアンスを持つ冒頭から次第に旋律が抜け出し、再び混沌としていく世界が見事に描かれました。

  

 後半は、奥村さんがシューベルト《ピアノソナタ第21番 変ロ長調 D960》を演奏されました。シューベルト最後のソナタである同曲は4楽章で構成される長大な作品です。穏やかに一貫した表現で演奏された第1楽章は、繰り返される主題が遠くで静かに響き、時に現実味を帯びた音で浮き上がり、異なる層で音が響いているようでした。左手の音型が終始旋律を穏やかに支える第2楽章を経て、スケルツォの第3章は、それまで抑えられていた感情が解放されるように活き活きとした曲想。奥村さんの瑞々しい音が印象的でした。最後の第4楽章はト音に導かれた主題から始まり、様々な楽想を経て最後は駆け抜けるように締めくくられました。

 

 最後に澤辺さんと奥村さんの連弾でドビュッシー《小組曲》が披露されました。ドビュッシーの音色、管弦楽的な色彩感が表現され、繊細で優雅な空間が作り出されました。アンコールは情熱的な、ピアソラ《リベルタンゴ》。鮮やかな演奏で、演奏会の幕は閉じられました。

(W.T.)

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