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藤田めぐみのショパン24のエチュード全曲演奏会と
「誰でもショパンエチュード」マスタークラス 開催レポート
2020年1月16日(木) 18時開演 (17時30分開場)
18:00〜19:15 ショパン 24のエチュード 全曲演奏会
19:30〜21:30「 誰でもショパン エチュード」マスタークラス
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」
出演:藤田めぐみ(ピアノ)

 

 

 表現者にとっていつでも課題となる、「テクニック」と「表現」を一つのパフォーマンスとしてどのように実現させるかということ。ショパン《練習曲》作品10・作品25、通称「ショパンエチュード」は、ピアノ学習者の一つの大きな目標であり、コンクール課題曲の王道でもあります。この作品は、一曲一曲が指や腕の訓練課題をもつピアノ演奏の問題集のような一面を持っていて、ともすればテクニックだけで弾かれがちとも言えます。そのような楽曲を、藤田さんは一つの壮大な組曲のようにして、独自のショパン像を描き出しました。

 会場が藤田さんのショパンの世界に引き込まれる様子は、客席の空気やお客さまの体の動きが音に同調する様子からも明らかでした。作品10-6では内声を緻密に編み込まれた深い静寂に満たされ、10-7の軽やかな3度と6度の指運びに緊張から解放され、下降のアルペジオに導かれるように10-8で何人かが自然に体を揺らしています。

 <インターヴァル無し>の標記の通り、引き続いて作品25が始められます。25-5で中間部へ移る一瞬の間合いや余韻には、文字通りの「練習曲」を超えるような大曲の様相が呈されます。終盤の25-10や25-12のアレグロ・コン・フォーコに向かっては、それまで細く長い息遣いで内省的に描かれた情動が、エネルギーを持って表面に現されます。作品25の最後まで通して、やっと作品10から辿ってきたショパンの世界の答え合わせがされるように感じました。

 会場は大きな拍手に包まれました。本公演は一見、マスタークラスを伴うピアニスト向けの企画のようでありながら、誰もに開かれた演奏会のように感じます。ピアノを嗜んだり、コンクール出場を目指す方だけでなく、音楽に興味を持ち始めた方から通なショパン愛好家の方にまで、作曲家と対話して音楽を「表現」するということについて、改めて考えさせられるような演奏会でした。

(M.S.)

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