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佐々木 崇 シューマンリサイタル(全12回) 開催レポート
〜Vol.4 音楽の構造改革と詩情〜
出演:佐々木 崇(ピアノ)、長岡 聡季(ヴァイオリン/ヴィオラ)
2019年
12月13日(金) 19:00開演 18:30開場
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

  

 佐々木崇さんによるシューマンリサイタルの第4回「音楽の構造改革と詩情」が行われました。プログラムには前半に初期のピアノ独奏の作品、後半には後期の弦楽器とピアノの作品が配置され、一人の作曲家の作風の変化を実感できる貴重な機会となりました。

 まず、《謝肉祭 4つの音による小さな情景集 作品9》が演奏されました。この作品のモチーフとなっている4つの音(A, Es, C, H)を追うことに従事した演奏にとどまらず情景が次々と通り過ぎる構造に着目した佐々木さんは、無邪気な愛らしさを感じさせる演奏で様々な情動を表現し作品の魅力を引き出しました。演奏者の謙虚で素直な音楽的表現は聴衆の心へとまっすぐに響かせる音楽を演出しているようでした。

 後半は、ヴァイオリンに長岡聡季さんをお迎えして《ヴァイオリンソナタ 第1番 作品105》の演奏で始まりました。第1楽章ではヴァイオリンからピアノへ、第3楽章ではピアノからヴァイオリンへとパッセージが流麗に受け継がれていく美しさに圧倒されました。二種類の音色が一つに重なり合う瞬間、お互いに同等の立場で対話する瞬間など二人の演奏家が織り成すあらゆる瞬間は輝きを持ち、音楽に生命力を与えていました。

 最後に演奏された《おとぎの絵本 4つの小品 作品113》では温もりある音色に包まれました。長岡さんのヴィオラにそっと寄り添うピアノの音質には、シューマンの音楽は優しさに満ちていると語った佐々木さんの思いがまさに実現されていました。深く聴衆の心に刻まれたであろう第4曲「ゆっくりとメランコリックな表情で(ニ長調)」での二人の物腰の柔らかなアーティキュレーションは詩的な味わいを残して、演奏会の幕は閉じられました。

(M.S)

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