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鐵 百合奈 ピアノリサイタル 開催レポート
《2017年 日本音楽コンクール 入賞者シリーズ》
2019年10月9日(水) 開場18:30 開演19:00
会場:
カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

 

 

 カワイサロンコンサート in 表参道のNo.704は、《2017年日本音楽コンクール入賞者シリーズ》。数々の秀でたピアニストを輩出し続けている《日本音楽コンクール》の入賞者が、まとまったプログラムでリサイタルを開く、注目のシリーズです。

 今宵登場するのは、同コンクールで第2位を受賞、併せて岩谷賞(聴衆賞)、三宅賞を受賞した若きピアニスト、鐡 百合奈(てつ・ゆりな)さん。他のコンクールでも、大阪国際音楽コンクール第1位、ローゼンストック国際ピアノコンクール第1位など、高い評価を得ている鐡さん。デビューCDのリリース、国内の主要オーケストラとの共演、さらには論文の執筆で柴田南雄音楽評論賞を受賞するなど、目覚ましい活躍をみせています。

 当夜のプログラムでは、シャブリエからベートーヴェンまで幅広い選曲によるピアノのソロのあと、ラストには、弦楽四重奏団「タレイア・クァルテット」と共に、フランクのピアノ五重奏曲が演奏されました。「タレイア・クァルテット」のメンバーは、山田香子さん(第1ヴァイオリン)、二村裕美さん(第2ヴァイオリン)、渡部咲耶さん(ヴィオラ)、石崎美雨さん(チェロ)で、こちらもまたコンクールの受賞、リサイタルの開催と、盛んに活躍中。轍さんとはちょうど同年代、友情出演とのことです。

 それでは今宵の演奏を、ピアノのソロから一曲ずつ振り返ってみましょう。最初の曲は、シャブリエの『10の絵画風小品』より第4曲《木陰にて》。幾度も繰り返される低音部の伴奏型が印象的で、その上を穏やかなメロディーが、わずかな陰影をみせながら通り過ぎていきます。さりげなさが素敵でした。

 続いて、ハイドンの『アンダンテと変奏曲 へ短調』。詩的でナイーヴなハイドン。優しい時が流れていきます。多彩な装飾音が楽曲中にふんだんに散りばめられ、星屑のように美しかったです。

 前半最後の曲は、サン=サーンスの『6つの練習曲 作品52』より第6番《ワルツの形式で》。優美で軽やかな音楽から超絶技巧を駆使した音楽へと、大きな展開をみせました。

 休憩を挟んで、ベートーヴェンの『ピアノ・ソナタ第27番 ホ短調 作品90』。夢の中の出来事のように、儚く移りゆくソナタ。第2楽章の美しい旋律は、誠実さと愛に満ちていました。

 クァルテットのメンバーが舞台袖より登場して、落ち着いた面持ちで音合わせ。最後の曲、フランクの『ピアノ五重奏曲 へ短調』より第1楽章です。情熱的で力強い音楽。女性5人のアンサンブルは、見事な調和と、丁々発止のやりとりをみせ、迫力満点でした。音楽で会話する友情。とにかく素晴らしかったです。

 アンコールは再びピアノ・ソロで、リストの『超絶技巧練習曲第5番《鬼火》』。高度で繊細なテクニックに、情念の炎を思わせる鬼火。見事な演奏に、会場は大きな拍手で包まれました。

(H.A.)

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