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嘉屋 翔太 ピアノリサイタル 開催レポート
《 東京音楽大学 表参道 サロンコンサートVol.47 》
2019年
10月3日(木) 18:00開場 18:30開演
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 

 

 東京音楽大学演奏家コース・エクセレンスに、現在特別特待奨学生として在籍している嘉屋翔太さんのリサイタルが行われました。嘉屋さんは今年の夏に開催されたPTNAピアノコンペティションのPre特級では金賞を受賞するなど、注目されている若手。プログラムは時代を順に追っていくように構成されており、楽器そのものの発展と多様性も感じ取れる内容です。

 まずはバロック時代の鍵盤作品に新たな息吹をもたらした、スカルラッティの2曲。ソナタのK.436/L.109は幕開けにふさわしく華やかに、K.213/L.108は祈るように。素朴でありながら、すっきりと洗練された音色です。

 続いて、開放的なヘンデルの〈シャコンヌHMV435〉。明るい曲想は清々しく、芯の通った音色で、晴れやかな気分にさせてくれます。

 前半の最後は天上と地上のふたつの世界を対比するような、ベートーヴェンの《ソナタ第32番》。葛藤、痛み、ユーモアなど作品に凝縮された人生を謳っているような、深みのある演奏を聴かせました。

 後半はリストの対照的な2作品。〈アヴェ・マリアS.182〉は、あまり取り上げられることのない小品です。作曲家の特徴のひとつとしてよく挙げられる“技巧面”が強く出ている作品ではなく、音量のコントロールをはじめとした、奏者の繊細な要素が存分に味わえるものでした。最後は〈ソナタロ短調〉。締めくくりにふさわしく、剛柔自在の表現力をもって感情の変遷を表した演奏でした。

 アンコールは2曲ともリストによる編曲版。メンデルスゾーンは《7つの歌曲》より〈歌の翼に〉、そしてベッリーニ〈「ノルマ」の回想〉。プログラム本編も大曲揃いでしたが、最後まで重厚感のある演奏で観客を楽しませてくれました。

(R.K.)

 師の武田真理先生と

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