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日本ショパン協会 第289回例会
石川 紗穂利 ピアノリサイタル 開催レポート
《日本ショパン協会パウゼシリーズ Vol.41》
2019年7月19日(金)開演 18:30 (開場 18:00)
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

  

 7月半ば、ショパン協会のパウゼシリーズVol. 41として、石川紗穂利さんのピアノ・リサイタルが開催されました。前半にショパン、後半にドビュッシーとラヴェルという「フランスに縁深いプログラム」(石川さん)で、若さ溢れる瑞々しい演奏を披露してくださいました。

 前半には、ショパンの《ノクターン第3番 ロ長調》Op. 9-3と《ピアノ・ソナタ第3番 ロ短調》Op. 58が取り上げられました。ノクターンでは、少しずつ装飾的になっていく右手の細やかな旋律が甘く美しく奏でられており、穏やかな主部と激情的な中間部との対比も魅力的に表現されていました。ソナタは全体を通して、伸びのある豊かな音色で演奏されており、第2楽章の軽快なパッセージや第4楽章での音楽の爆発力も印象的でした。

 後半には、ドビュッシーの《版画》、ラヴェルの《水の戯れ》と《ラ・ヴァルス》が演奏されました。《版画》では、〈塔〉〈グラナダの夕べ〉〈雨の庭〉と、各タイトルの示す異なる世界観が巧みに弾き分けられていました。〈雨の庭〉でのハリのある力強い音色も美しかったです。続くラヴェルの《水の戯れ》では、刻一刻と変化する和声の色彩が見事に表現されており、様々に形を変える水の様子が目に浮かぶようでした。《ラ・ヴァルス》では、ときに繊細に、ときにダイナミックに、音楽が躍動感をもって展開されていました。混沌とした響きのなかから次第にワルツが形作られ、再び崩壊していく様子を生き生きと感じ取ることのできる好演でした。

 アンコールは、ドビュッシーの《アラベスク第1番 ホ長調》。流れるような旋律が透明感のある音色で演奏されました。会場からは温かな拍手が送られ、和やかな雰囲気のなかで演奏会は閉じられました。今年の3月に大学をご卒業されたばかりの石川さん。今後ますますのご活躍を期待しています。

(Y. T.)

 

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