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川崎 槙耶 & 各務 佑実 ランチタイムコンサート 開催レポート
東京藝術大学ランチタイムコンサート2019 in 表参道
<大学院音楽研究科修士課程1年生によるピアノジョイントリサイタル Vol.4>
2019年7月10日(水) 12:00〜13:30(11:30開場)
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 

 

 「東京藝術大学大学院音楽研究科修士課程1年生によるピアノジョイントリサイタル」全8回の第4回目が行われました。今回の出演者は、川崎槙耶さんと各務佑実さんのお二人です。

 最初の川崎槙耶さんは、東京藝大附属音楽高校を経て、東京藝大を卒業。現在、大学院音楽研究科修士課程に在籍しています。

 取り上げた作品は、ジョン・ケージ、ジェルジュ・リゲティ、矢代秋雄、ピエール・ブーレーズといった現代作曲家の作品と、ドビュッシーの「喜びの島」。1曲目はジョン・ケージの「トイピアノのための組曲」です。この曲は5曲からなる組曲で、その第1曲と第2曲をまず演奏。トイピアノの音色がとても可愛らしいのですが、音程も音色もしっかりしていて、とてもおもちゃとは思えません。

 次はリゲティの「練習曲 第8番《金属》」です。テンポ良く躍動するリズムから、静かなゆったりとした音楽へと移行します。

 トークを挟んで、矢代秋雄(1929〜76)の「ピアノ・ソナタ」です。矢代秋雄は日本を代表する優れた作曲家で、東京藝大作曲科主任教授時代に46歳という若さで急逝したために、日本楽壇、とりわけ作曲界には非常に大きな衝撃が走りました。この曲は1961年の作品で、3楽章形式で書かれています。強音と弱音、激しい所と静かな所とが交互に出現するような曲ですが、川崎さんの演奏には、何か引き込まれるものが感じられました。

 続いてプログラムには書かれてありませんが、再びトイピアノが登場です。最初に演奏したジョン・ケージの組曲の第3曲と第4曲をここに挟みました。現代音楽ではありますが、その音色に懐かしさと親しみを感じました。

 続くブーレーズの「アンシーズ(1994年版)」は小品ですが、テンポの速い、同音連打の多い曲で、川崎さんはとてもクリアな音色で演奏しました。

 最後はドビュッシーの「喜びの島」です。現代音楽に通じるものがある曲ですが、それまでの緊張感が解けた感じで聴くことができました。川崎さんはメリハリの利いた好演奏を聴かせてくれました。

 最後に三たびトイピアノが登場し、ジョン・ケージの組曲の第5曲を演奏して、大きな拍手に包まれました。

 この人の現代音楽演奏をもっと聴いてみたいと思わせてくれるピアニストです。

 2人目の各務佑実さんは、宮崎県出身。名古屋市立菊里高校音楽科を経て東京藝大を卒業。現在、大学院音楽研究科修士課程に在籍しています。

 1曲目はメンデルスゾーンの「無言歌集 第4集」より 『変イ長調 Op.53-1《海辺にて》』です。ロマン派の作品を歌うように弾く演奏にうっとりと聴き惚れます。

 トークで次のスクリャービン「ピアノ・ソナタ 第2番 嬰ト短調 Op.19《幻想》」について説明して、演奏に入ります。この曲はスクリャービンが20歳の頃に書かれた初期の作品なのでまだ調性がはっきりしていますし、ロマン派の影響を充分に受けた作品です。第1楽章のAndanteもとても良い演奏でしたが、第2楽章のPrestoでは流れるような演奏で、なかなか見事でした。

 最後はベートーヴェンの「ピアノ・ソナタ 第21番 ハ長調 Op.53《ワルトシュタイン》」について説明をしてから演奏に入りました。テクニックもしっかりしていて指もよく回り、流麗に演奏しました。フレーズの移り方、間の取り方も良く、強音でも決して叩かず、豊かな響きのフォルテを紡ぎ出します。ベートーヴェンらしさがよく出た重厚な演奏でした。

 温かい拍手に応えてのアンコールは、川崎さんと各務さんによる連弾です。ハチャトゥリヤンの「剣の舞」を、プリモ・川崎さん、セコンド・各務さんで演奏しました。手の交叉も上手く、面白いパフォーマンスで喝采を浴びました。

 2人共これからが大いに楽しみなピアニストです。

(K.Y.)

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