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香月 すみれ & 松村 由慶 & 小倉 美春
ランチタイムコンサート 開催レポート
桐朋学園 ランチタイムコンサート2019-2020 in 表参道
<音楽部門在籍生によるピアノジョイントリサイタル Vol.1 > 
2019年6月6日(木) 12:00〜13:10(11:30開場)
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 

 

 

 桐朋学園の音楽部門在籍生によるピアノジョイントリサイタル全5回の第1回目は、香月すみれさん、松村由慶(みき)さん、小倉美春さんの3人によるジョイントリサイタルです。

 最初は、桐朋学園大学4年在籍中の香月すみれさんの登場です。香月さんの1曲目は、ショスタコーヴィチの「24のプレリュードとフーガ Op.87」より《第7番 イ長調》と《第15番 変ニ長調》です。この曲集は、J.S.バッハの「平均律クラヴィーア曲集」と同じように、24の調による「前奏曲とフーガ」で構成されています。《第7番》では、古典的なプレリュードと、旧ソ連の「ピオニール」と呼ばれる少年団のラッパの旋律に基づいて五音音階で書かれたフーガとの対比が上手く表現されていました。《第15番》では、ワルツのリズムで書かれたプレリュードと12音技法のフーガとの全く違う雰囲気を鮮やかに描き出して、とても端正な演奏でした。

 続いてはリストの「村の居酒屋での踊り(メフィスト・ワルツ 第1番)S.514」です。4曲あるリストの「メフィスト・ワルツ」の中でも最もよく演奏される曲です。技巧を凝らした難曲をしっかりしたテクニックで弾き、原曲のオーケストラを思わせる響きを表現していました。激しい箇所とロマンティックな箇所との対比がとても面白く、リストの壮大さが上手く表現されていました。

 2人目は松村由慶さんです。松村さんは桐朋女子高校音楽科、桐朋学園大学を経て、現在同大大学院修士課程1年在籍中です。

 曲はベートーヴェンの「ピアノ・ソナタ 第18番 変ホ長調 Op.31-3」です。この曲は第16番、第17番「テンペスト」と同時期に書かれていますが、この曲のみ4楽章で構成されています。第1楽章冒頭からそれまでの伝統を打ち破るように始まりますが、明るいこの楽章を、よく回る指と細かく速い動きで素直に表現していました。第2楽章は緩徐楽章ではなく2拍子のスケルツォで、テンポ良くここでも明るく軽やかに表現しました。第3楽章は舞曲形式のメヌエットで短い楽章ですが、メリハリが効いていました。第4楽章は最後までとてもテンポが速く、細かい動きが多いですが、見事にクリアに弾き切りました。全体としてとてもよくまとめられた、清々しい感じのする演奏でした。

 3人目の小倉美春さんは、桐朋女子高校音楽科、桐朋学園大学を経て、現在同大学研究科作曲専攻1年に在籍中。昨年の第13回オルレアン国際ピアノ・コンクール(フランス)で第3位以内入賞、自作自演に対する作曲賞を含む7つの賞を受賞しています。作曲とピアノの両方を学び、現代音楽を中心に既に国内外で演奏活動を行っています。

 曲目は、現代音楽の巨匠シュトックハウゼンの「ピアノ曲 X」です。手のひらから肘まで、つまり前腕を使ってトーン・クラスターを出したり、その状態のまま激しいグリッサンドをしたりするため、この曲を演奏する際には手袋を着用するそうです。腕によるトーン・クラスターを多用する曲で、激しい衝撃音が出されますが、小倉さんはその激しい箇所と静かな箇所との対比を非常に上手く出していてとても面白く、知らず知らずのうちに引き込まれていきました。とても面白い存在のピアニストです。  三者三様の演奏でしたが、どのピアニストもそれぞれに特徴があって、これからが楽しみな存在と言えましょう。

(K.Y)

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