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2018年 ピティナ・ピアノコンペティション 特級入賞者コンサート
開催レポート
出演 : 角野 隼斗 ・ 上田 実季 ・ 武岡 早紀
2019年4月25日(木) 18:00開場 18:30開演
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 

 

 ピティナ・ピアノコンペティションの特級入賞者によるコンサートは、3人の演奏者によって様々な音色が展開された彩り豊かな演奏会でした。

 まず、武岡早紀さんによってシューベルト《ピアノソナタ 第21番 変ロ長調 D960》が演奏されました。音を出すまでの「間」に含みを持たせ、武岡さんがプログラムに記載された「現実を忘れさせるような静寂の世界」を創出しました。演奏者特有の柔らかく寄り添うような音色は、唯一の短調である第2楽章にも優しさにあふれた眼差しを向けており、しなやかな演奏が実現していました。

 続いて、上田実季さんはベートーヴェン《ピアノソナタ 第32番 ハ短調 Op.111》を演奏し、明確な強弱とともに清々しい印象を纏った音色で会場全体を包みました。第1楽章では威厳を、第2楽章では安らぎを対照的に現前させたベートーヴェンの音楽の真髄を示す演奏に圧倒されました。第2楽章の高音でのトリルが保持されながらも冒頭の主題が左手と右手で紡がれるパッセージでは、暗闇の中に一筋の光が射し込んでくるような希望が感じられました。

 最後には、グランプリを獲得した角野隼斗さんが演奏されました。ショパン《バラード 第2番 ヘ長調 Op.38》では感情の高ぶりを見事に強弱に反映させ、ラフマニフ《ヴォカリーズ Op.34-14(コチシュ編)》では内省的な深みを帯びた演奏で、リスト《メフィスト・ワルツ 第1番「村の居酒屋での踊り」 S.514》では卓越した超絶技巧と瑞々しい響きで観客を魅了しました。演奏者の打鍵の精緻さに驚かされるばかりでなく、作品への理知的なアプローチと敬意そして常に上品な音色を保つ真摯な姿勢に、王者としての地位への確固たる信念が伝わってきました。

 アンコールは角野さんによってリスト《ラ・カンパネラ》が演奏され、この充実した演奏会はきらびやかに幕を閉じました。

(M.S)

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