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村上 智則 & 八部 陽菜 ランチタイムコンサート 開催レポート
東京藝術大学ランチタイムコンサート2019 in 表参道
<音楽学部1年生によるピアノジョイントリサイタル vol.11>
2019年3月7日(木) 12:00〜12:45(11:30開場)
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 

 

 「東京藝術大学音楽学部1年生によるジョイントリサイタル」シリーズ、本日で11回目を迎えました。本日演奏されたのは村上智則さんと八部陽菜さん。プログラムもお2人で全く趣向の違うものとなっており、1時間足らずとは思えないほど色濃いコンサートの時間でした。

 最初に演奏された村上智則さんは、印象主義の代表作品と呼ばれるドビュッシー《前奏曲集》からの3曲と、グラナドスがゴヤの絵にインスパイアされて書いたとされる《ゴイェスカス》からの1曲。楽曲の標題から色々なことをイメージできるプログラムでした。村上さんは《前奏曲集》の第1巻から〈アナカプリの丘〉〈西風の見たもの〉〈ミンストレル(吟遊詩人)〉の3曲を選んでいらっしゃいましたが、いずれの楽曲でもリズムや音階の特徴を丹念に拾い上げており、楽曲への具体的なイメージを感じる演奏でした。《ゴイェスカス》からは、作品全体への深い理解と繊細な表現力を必要とする〈愛と死〉を選んでいらっしゃいました。こちらも楽曲に散りばめられたモティーフや各部分の和声を的確に捉え、「愛と死」のタイトル通り神秘的な世界を描いていらっしゃいました。

 後半に演奏された八部陽菜さんは、音楽そのものの構造美が特徴的なプロコフィエフの代表作である、ピアノ・ソナタ第7番を全楽章演奏されました。このソナタは第二次世界大戦中に書かれたことにより、第6番・第8番と併せて「戦争ソナタ」と呼ばれていますが、各楽章に対する具体的な標題は付けられておらず、音楽から受け取るイメージは聴き手に委ねられます。八部さんはまず、プロコフィエフの独特の和声感が光る第1楽章を、明快な音色で力強く奏でました。そして、第2楽章の緩やかな中にも不気味さの残る雰囲気を巧みに引き出した後には、第3楽章のスリリングな楽曲展開を安定した技術で見せていました。この第3楽章はプロコフィエフの技巧的な曲に特徴的な、スピード感と独特のリズム構造がありますが、八部さんはアクセントを効かせた音運びで、粋に音楽を創り上げていらっしゃいました。

 最後はお2人揃っての、〈ブラームスのワルツ〉の連弾でアンコール。ピアノの様々な顔を短い時間で知ることのできた、充実のコンサートでした。

(A.T.)

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