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第16回グリーグ国際ピアノコンクール 優勝及び聴衆賞受賞 記念
名門イモラ音楽院 創設5人目の最上級称号『エクセレント・マスター』にて卒業
高木 竜馬 ピアノリサイタル “コンクールの軌跡”開催レポート
〜 晩期ショパンの聖諦と若きラフマニノフの韜晦。二人の亡国の悲惨に哭く。〜
2019年3月6日(水) 開場 18:30 開演 19:00
会場:カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」
第16回グリーグ国際ピアノコンクールの優勝を記念したピアニスト高木竜馬さんのピアノリサイタルが行われました。高木さんは、現在NHK総合テレビ「ピアノの森」に、雨宮修平のメインピアニスト役で出演するなど、多方面でのご活躍をされています。パウゼには熱気を感じるほど多くのお客さんが、高木さんの演奏を心待ちにしていました。前半はショパンとグリーグの曲を演奏。《2つのノクターン作品62》より第1番ロ長調では、芳醇な香りが放たれるような音楽が観客を魅了します。グリーグの《抒情小品集第8集作品65》第6曲〈トロルハウゲンの婚礼の日〉では爽やかで開放的な雰囲気の中、男女が語り合うようで、音で明るい世界が作り上げられました。優美で、詩人を思わせる高木さんの音楽表現が印象的な《抒情小品集第5集作品54》第4曲〈ノクターン〉、ショパンの《舟歌嬰ヘ長調作品60》に続いて演奏された《ポロネーズ〈幻想〉変イ長調作品61》は、前半を締めくくるかのような大規模な傑作です。「ショパンが病床に伏せた中で人生が走馬灯のように流れては幻想に消えていく」と曲目解説にあるように、壮大なストーリーが流れ込んでくるかのような演奏でした。直接的ではない、ベールがかかったような柔らかい音の弾き分けなど、音へのこだわりが感じられました。
後半は高木さんの妹の薫子さんとの2台ピアノで、ラフマニノフ《ピアノ協奏曲第2番ハ短調作品18》を演奏されました。ピアノ2台から色彩豊かなオーケストラを想起させる音響空間が生み出され、感情の押し引きが音楽の膨らみによって行われるよう。第3楽章では切々として情緒に訴えかける旋律に心を奪われます。中間部の畳み掛ける掛け合いで蓄えられたエネルギーが、怒涛のクライマックスを導きました。
アンコールではシューマンのトロイメライ、ショパンの英雄ポロネーズ、チャイコフスキーのくるみ割り人形より3曲(二台ピアノ編曲)が披露されました。アンコールとは思えないような曲が並び、最後までお客さんを惹きつけました。曲間では感嘆の声が上がり、スタンディングオベーションで惜しみない賞賛が送られました。
(W.T.)
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