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宮下 まゆき ピアノリサイタル 開催レポート
《 東京音楽大学 表参道 サロンコンサートVol.45 》
2019年
2月27日(水) 18:30 開場 19:00 開演
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

  

 《東京音楽大学 表参道 サロンコンサート》のVol.45は、同大学ミュージックリベラルアーツ専攻1年に在学中の、宮下まゆきさんによるピアノリサイタルです。

 1年生とはいっても、昨年行われた上級生も参加する学内コンクールにおいて、並み居る優秀な学生の中で1位を受賞。その小さな体に、どれだけの潜在能力が秘められているのでしょうか。

 6歳でピアノを始めた宮下さんは、11歳の時にアメリカに移住しました。アメリカを中心に、既に数々のコンクールで受賞し、ソロリサイタルやコンチェルトの共演など演奏歴も豊富です。2016年に帰国して、日本の音楽大学でさらに研鑽を積むその途上での、今回のリサイタル。プログラムは、バロック、古典、ロマン派、現代曲とバランス良く、難曲も多く含まれていました。

 さて、最初の曲から振り返ることにしましょう。ラモーの「ガヴォットと変奏」。繊細なガラス細工のような装飾音。疲れた心と体をそっと包み込んでくれるような、やさしい調べです。

 続いて、ベートーヴェンの初期の「ピアノ・ソナタ第3番 ハ長調 Op.2 No.3」。快活で率直な第1楽章、ふと立ち止まるような間合いが美しい第2楽章、俊敏な展開が聴き所の第3楽章、意気揚々と明るい輝きを放つ第4楽章。ベートーヴェンの芸術がやがて高みへと向かう、その予兆が随所に感じられる素晴らしいソナタです。

 プログラム前半、最後の曲は、ロシアの作曲家バラキレフの難曲「イスラメイ」。そのエネルギッシュな音楽からは、バラキレフが旅したコーカサス地方の雄大な自然、エキゾチックな文化の香りがダイレクトに伝わってきます。豪華なテクニックで、彩り豊かに演奏されました。

 休憩をはさんで、プログラム後半は、シューマンの「交響的練習曲 Op.13」。きわめて個性的で魅惑的な、様々なキャラクターが行き交うこの大作を、フレッシュな演奏でまとめあげました。

 そして最後の曲は、アメリカの作曲家リーバーマン(1961年生まれ)の「ガーゴイル Op.29」。プログラムノート(宮下さん自ら執筆)によると、「ガーゴイルとは、怪物の形をした石像のこと。……西洋では教会装飾や建築の雨どい装飾としてほどこされる。見た目は羽が生えて猫背なグロテスクな怪物だが、その外見にはどこかユーモラスさも感じられる」とありました。面白いテーマですね。そのテーマにしては驚くような美しさ、さらには野性味、破壊感など、次から次へと個性的な音楽が炸裂。圧倒的な演奏で、コンサートはクライマックスとなりました。

 アンコールはビゼー作曲、ホロヴィッツ編曲の「カルメン幻想曲」で、華麗に締め括られました。ピアノを弾いて聴衆に感動を与える、その素晴らしさに幼い頃から魅せられて、勉強をしているという宮下まゆきさん。今後が楽しみです。

(H.A.)

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