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竹田 悠一郎 & 伊達 広輝 ランチタイムコンサート 開催レポート
東京藝術大学ランチタイムコンサート2019 in 表参道
<音楽学部1年生によるピアノジョイントリサイタル vol.9>
2019年2月21日(木) 12:00〜12:45(11:30開場)
会場:カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」
先日から続いている「東京藝術大学音楽学部1年生によるジョイントリサイタル」シリーズも、本日で9回目となり、今日は竹田悠一郎さんと伊達広輝さんのご登場でした。会場には応援に駆け付けたと思しきお2人の友人達の姿もあり、会場は賑やかな雰囲気となっていました。本日演奏されたお2人は、大変卓越した技術とそこから来る安定感を持っていらしており、各々難曲をプログラムに入れているにも関わらず、それらを軽々と弾きこなしていらっしゃるように思えるほどでした。最初に登場された竹田さんは、全てフォーレ作曲のプログラムで、《ノクターン》の第6番と《ヴァルス・カプリス》第2番の演奏でした。同じロマン主義でも、フォーレをはじめとする近代フランスの作品は、ドイツものに比べて情緒を吐露したような場面が少なく、演奏家にもしばしば抑えた表現で繊細に音楽を綴ることが求められます。竹田さんの音色はそのようなフォーレにぴったりで、《ノクターン》では幻想的な雰囲気を、対する《ヴァルス・カプリス》では舞曲の粋で艶やかな雰囲気を創り上げていました。
後半に登場された伊達さんは、ラフマニノフの大作《コレルリの主題による変奏曲》1曲によるプログラムでした。伊達さんの演奏はさらりとした音運びの中にも、彼の呼吸感や情熱を感じるものでした。この作品はタイトルの通り、バロック時代の作曲家コレルリの〈フォリア〉がラフマニノフの手によって次々と変奏されてゆくものです。伊達さんは主題の提示の時には神聖な空気を漂わせるような、美しいピアノ(小さい音)で会場の空気を掴むと、変奏曲が発展するごとに秘めていた情緒を露わにしてゆき、楽曲全体を見事にまとめていらっしゃいました。 アンコールはリムスキー=コルサコフのナポリの歌を連弾。お2人が今後どのような音楽で皆さんを感動させてゆくのか、とても楽しみになるコンサートでした。
(A.T.)
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