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本間 里衣奈 ピアノリサイタル 開催レポート
《 桐朋学園 表参道 サロンコンサートシリーズ Vol.42 》
2019年
2月13日(水) 開場18:30 開演19:00
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 

 桐朋学園にゆかりのあるピアニストが登場するコンサートシリーズに、卒業生の本間里衣奈さんが出演しました。本間さんは桐朋卒業後、エコール・ノルマル音楽院へ留学、今春より桐朋の大学院に進学する若手ピアニストです。編曲物を含む4曲で構成されたプログラムは「作曲家が書き残した言葉を感じ取ってもらえたら」と選曲。リサイタルに対する気迫を感じる作品が並びました。

 まずは、子守歌のようにあたたかなテーマが印象的な、ブラームス〈自作主題による変奏曲〉。11の変奏に与えられているそれぞれの個性がていねいに汲み取られ、作曲家の内面に触れられたような感じがしました。

 続くフランクの〈プレリュード、フーガと変奏曲〉は、バウアー版で。どこまでも物悲しい旋律から、崇高な雰囲気が醸し出されます。作品そのものはもとより、聴衆の内奥に迫る演奏です。

 前半最後はバッハ=ブゾーニの〈シャコンヌ〉。多くのバッハ作品をピアノ用に編曲したブゾーニは、この作品でもあたかもオルガンのような重厚な音響を作り上げています。迫真性のある深みのある音で、峻厳な精神世界を聴かせました。

 コンサートの締めくくりは、ブラームスの《ソナタ第3番》。5楽章から成る長大な作品を、多層的な音色で弾き進めます。作曲家の繊細な内面性に寄りそった、情感の豊かな演奏でした。

 演奏後、「桐朋を卒業してからこのようなシリーズへの出演機会に恵まれ、感謝しています。多くの方に演奏を聴いていただけて本当にうれしいです。成長段階ではありますが、このような長大な曲をたくさん演奏できて光栄でした」と満員の会場に向けて挨拶。アンコールは本編の雰囲気から大きく変え、モーツァルトのソナタKV.330より第2楽章を披露されました。

(R.K.)

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