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佐久間 雄士 & 島津 拓実 ランチタイムコンサート 開催レポート
東京藝術大学ランチタイムコンサート2019 in 表参道
<音楽学部1年生によるピアノジョイントリサイタル vol.7>
2019年2月8日(金) 12:00〜12:45(11:30開場)
会場:カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」
先日から続いている東京藝術大学音楽学部一年生によるジョイントリサイタルシリーズ、本日のソリストは佐久間雄士さんと島津拓実さんでした。客席にはお2人の応援に駆け付けた同じキャンパスで学ぶ方々も多かったようで、会場はいつも以上に若い方々で賑わいました。男性ピアニストお2人による演奏会でしたが、お2人とも力強い演奏をしつつも、繊細さを持ち合わせており、1時間足らずのプログラムのうちに、ピアノという楽器の様々な顔を知ることが出来ました。
最初に演奏されました佐久間雄士さんは、バッハの《平均律クラヴィーア曲集》第2巻第4番嬰ハ短調に、フォーレの《主題と変奏》嬰ハ短調よりという、同じ調でまとめたプログラムでした。嬰ハ短調というのは哀愁の中にも神秘的な色を湛えた調ですが、佐久間さんはまず《平均律》のプレリュードを神聖な雰囲気で演奏し、会場を心地よい静けさに包んだ後に、テンポの速いフーガでは内に秘めた情熱を聴かせていました。続くフォーレの《主題と変奏》もやはり宗教的な色を持った作品ですが、こちらでも佐久間さんは主題で厳粛な空気を創った後に、フォーレのハーモニーが持つ繊細な面も聴かせており、丹念な音楽創りが光りました。
次に演奏された島津拓実さんは、ラフマニノフのピアノ独奏の大作である《ピアノ・ソナタ》第2番に絞ったプログラムでした。非常に技巧的な楽曲ですが、島津さんはラフマニノフの楽曲でしばしばテーマとなる「鐘」の存在を際立たせながら、雄々しくも艶やかに楽曲を盛り上げていました。技術的な難所においても決して表現が過度になることなく、スムーズに音楽が進行するのも島津さんの技術の高さ故でした。とりわけ終楽章の勢いある展開は見事で、会場の皆様も熱心に耳を傾けていらっしゃいました。
内容の濃いプログラムを弾き切った後、さらにお2人がアンコールに選んだのは、これまた技術と表現力が試されるショパンの《エチュード》でした。佐久間さんは作品10-10を表情豊かに、島津さんは作品10-5を華やかに演奏され、若い2人のピアニストに大きな拍手が湧きあがりました。
(A.T.)
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