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ピアニスト 田崎悦子 in Joy of 室内楽シリーズ Vol.12
開催レポート
(Chamber music series Vol.12)
〜日本を代表するアーティストとヤング・アーティストのコラボレーション〜
公開リハーサルよりコンサートまで
プログラム・ディレクター:田崎 悦子
ゲスト・アーティスト:クラリネット コハーン・イシュトヴァーン
出演:
田崎 悦子(ピアノ)、コハーン・イシュトヴァーン(クラリネット)
ヤングアーティスト:吉江 美桜(ヴァイオリン)、ピーティ田代 櫻(チェロ)
公開リハ―サル
2018年12月7日(金)15: 00 〜17:00
コンサート
2018年12月7日(金)19: 00 開演(18:30開場)
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」
コンサート前に行われた公開リハーサルの様子
コンサート
田崎悦子さんのライフワークとも言える演奏会シリーズ『Joy of Chamber Music』が開催されました。毎回、若手とベテランアーティストを迎えて披露される室内楽コンサート。今回は田崎さんとコハーン・イシュトヴァーンさん(Cl)、そして“ヤングアーティスト”として吉江美桜さん(Vl)と、ピーティ田代櫻(Vc)さんが出演しました。この日のプログラムはクラリネットを軸に選曲。田崎さんご自身の思い入れが強い作品が並びました。まずはバルトークの《コントラスツ》。「渡米してそれまで弾いたことのなかったバルトークを勧められるまま弾き、その魅力から抜け出せずにいる」と田崎さん。初演のメンバーであり、委嘱したのもベニー・グッドマン(Cl)だったことから、ジャズに民族的な要素が掛け合わさった作品。全体的に薄く広がるピアノの上に、ヴァイオリンとクラリネットの対比が面白く、スリリングなアンサンブルでした。
続いて演奏されたのは、ブラームスの《クラリネットソナタ第1番》。田崎さんとコハーンさんは「第1楽章は苦しみ」「第4楽章は勝利」などと、ブラームスがこの作品で何を語りたかったのか、それぞれが感じていることを話されました。悲しみや悲劇に立ち向かう激しさ、諦念など、さまざまな感情が交錯していきます。やわらかく豊かなクラリネットの音色は、作曲家の内面に触れるような演奏でした。
最後はメシアンの大作《世の終わりのための四重奏曲》。田崎さんはこの作品のために結成された『タッシ』による演奏に接し、それまでに聴いたことのない深い音に感動したと言います。ピアノに重なる高音のヴァイオリン、低音のチェロ、その間を結ぶクラリネット、4種の楽器がソロ、二重奏、tuttiと編成も変化していきます。曲を通じて宗教的な精神性が伝わり、演奏後のその静寂から、静かな感動が会場にあふれたように感じました。
(R.K.)
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