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石川 美羽 & 石黒 龍一 ランチタイムコンサート 開催レポート
東京藝術大学ランチタイムコンサート2018 in 表参道
<音楽学部1年生によるピアノジョイントリサイタル vol.2>
2018年11月29日(木) 12:00〜12:45(11:30開場)
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 

 

 今回の東京藝術大学ランチタイムコンサートは、石川美羽さんと石黒龍一さんのご出演でした。プログラムは、石川さんの演奏されるバッハのあと、お二人合わせてワルツが6曲続くという、非常に面白いものでした。

 まず演奏されたのは石川さん。トッカータニ長調 BWV912は、時に高雅で時にシリアスな、めくるめくような曲の展開が特徴です。バッハが曲の中に取り入れた多様な様式を巧みに表現されており、印象深い演奏でした。

 続くラヴェルの「ラ・ヴァルス」は、もともと管弦楽曲版として作曲され、非常に複雑なテクスチャを持っていることで知られています。石川さんはこの難曲を見事に弾き切って見せました。それだけではなく、旋律や和声といった構造が、聴き手も一つ一つ理解できるような透明感のある演奏で、楽曲への理解力と洞察力が伺えました。

 次に演奏されたのは石黒さん。ショパンのワルツを5曲演奏されました。まずは変ホ長調「華麗なる大円舞曲」。和声が分厚く作られている曲ですが、決して大仰にならず、軽快でエスプリが効いていた点が印象的でした。非常に有名な曲ですが、今回の演奏で改めてその魅力を再発見できました。

 続いて遺作の3つのワルツOp. 70。それぞれ短い楽曲ですが、石黒さんは様々な特徴を饒舌に表現されていました。特に、第2曲のため息のようなフレーズは、聴き手も嘆息してしまうほど美しいものでした。

 最後にワルツ変イ長調Op.42「大円舞曲」。速度のあるパッセージが耳に残る曲ですが、それを本当に軽やかに、ショパンの曲らしく演奏されていました。

 アンコールにはお二人の連弾で、ドヴォルザークの「スラブ舞曲集」よりOp.72-3が演奏されました。バッハ、ラヴェル、ショパンとはまた一味違う、お二人の引き出しの多さを感じさせるような野性味ある二拍子の舞曲で、演奏会は大喝采で幕を閉じました。

(A.Y.)

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