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松田 龍 ピアノリサイタル 開催レポート
《 桐朋学園 表参道 サロンコンサートシリーズ Vol.41 》
2018年
11月14日(水) 開場18:30 開演19:00
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

  

 会場は今か今かと松田さんの演奏を心待ちにする聴衆で満たされていました。

 このコンサートは、バッハ《イタリア協奏曲 ヘ長調 BWV971》の凛々しく格式高い演奏で始まりました。第1・第3楽章の明るく快活な音色とは異なり、第2楽章では、暗闇の中の一つだけ照らされている街灯と松田さんが表現したように、ややかすみのかかった光源から来る言い知れぬ寂しさを感じました。

 次は、モーツァルト《ピアノソナタ 第9番 イ短調 KV310》でした。この作品は、モーツァルトの数少ない短調を強調するがゆえに、悲痛な感情を前面に出す演奏が多いように思われますが、松田さんの音色には希望すら感じられ、第3楽章の張り詰めた緊張感には会場全体が自然と息を潜めました。まるで弦楽器のポルタメント(2音間の音高をなめらかにつなげる奏法)のようなレガートと、歯切れの良いスタッカートの区別が見事になされていました。

 ベートーヴェン《自作主題による6つの変奏曲 ヘ長調 Op.34》では、この作品に楽譜があることを忘れさせるほどに、松田さんがその場で変奏を作り出し一瞬一瞬を味わっているかのような演奏が、聴衆を大いに楽しませました。

 後半は、ブラームス《ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ 変ロ長調 Op.24》が演奏されました。25の変奏とフーガから構成されるこの作品は、「変奏曲というよりも計27曲の小品集と言っても良い」との奏者のコメントがプログラムに記載されているほど、性格の表現の幅が求められる楽曲ですが、松田さんはきらびやかな音色、重厚な音色、優しく親しみのある音色、など細部の微妙な変化に富んだ演奏で魅了しました。特に最後のフーガでは、この音楽の終わりに際して、演奏者の達成感がこちらにも伝わってくるように感じ取れました。

 アンコールには、ショパン《エチュード 変ホ長調 Op.10-11》とラフマニノフ《練習曲集「音の絵」より ニ長調 Op.39-9》が愉快に演奏され、割れんばかりの拍手に会場は包まれていました。

(M.S)

 

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