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ニューアーティスト・ランチタイムコンサート2018 in 表参道
ナイール・マヴリュードフ & アンドレイ・シチコ 
ピアノ・ジョイントリサイタル 開催レポート
2018年11月5日(月) 12:00開演(11:30開場) 
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 

 本日は第2回Shigeru Kawai国際ピアノコンクールで第2位に輝きましたナイール・マヴリュードフさんと第1位に輝きましたアンドレイ・シチコさんのジョイン ト・リサイタルが開催されました。通常のランチタイムコンサートよりも長い全2時間のプログラムで、プログラム内容も東欧の作曲家達の名曲 が織り交ざったものとなっていました。

 最初に登場したナイール・マヴリュードフさんは、重厚な音 色と滑らかな音運びが特徴的な演奏でした。まずはロシア出身の代表的な作曲家の一人、ラフマニノフの《音の絵》およ び《前奏曲集》作品23を優雅に演奏されました。特に《前奏曲集》第3番の神秘的な雰囲気と第5番の力強さは印象的でした。その次はバッハ=ブゾー ニの《シャコンヌ》。フェルッチョ・ブゾーニは19世紀末〜20世 紀初頭の新古典主義の作曲家・理論家で、ピアニストとしても活躍した人物であり、特にこの《シャコンヌ》は新古典主 義の代表作であるとともに技巧的な難曲 としても知られています。しかしながらマヴリュードフさんは持ち前の高い技術で、この楽曲を見事に弾きこなし、序盤 の厳粛な雰囲気から後半の華々しい場面 へと音楽を盛り上げていました。そしてプログラムの最後は、こちらも超絶技巧のピアニストおよび作曲家として知られ るリストの《スペイン狂詩曲》。楽曲の 持つエキゾチックな色味を充分に活かし、華やかにプログラムを締めくくっていらっしゃいました。

  後半に登場したアンドレイ・シチコさんは、先ほどのマヴリュードフさんとは対照的な、鋭いタッチと非常に明快な音色 が特徴的でした。最初のプログラムはリ ストの〈ラ・カンパネラ〉でしたが、歯切れのよい高音のスタッカートで、鐘の音を見事に表現されていました。続く ショパンの〈練習曲〉作品25-6も、3度の音程が技巧的に扱われた難曲ですが、主軸となる 音を明快に出し、立体的に仕上げていらっしゃいました。その次に演奏されたのは、ピアノ曲の中でも最も技術的難易度 の高いものの1つ とされているバラキレフの《イスラメイ》ですが、この楽曲ではシチコさんの音色が最も活きていたように感じられまし た。舞曲のようなキレのあるリズムとエ キゾチックな曲調、そして軽快に跳びまわる和音が特色の楽曲ですが、シチコさんが鋭いタッチで奏でるクリアな音が、 この楽曲の良さを見事に引き出していま した。その後は一転してモーツァルトのハ長調のソナタを、真珠の転がるような音色で演奏し、最後のプログラムはモー ツァルト=リストの《ドン・ジョヴァン ニの回想》でした。モーツァルトのオペラの名場面をリストが自らの技巧をもって1曲の壮大なピアノ曲に仕上げたものですが、シチコさんは技巧 的で華やかな場面は軽快に弾きこなしたうえで、各場面の色を表現していらっしゃいました。

 今後の活躍が期待される2名の若手ピアニストの腕を存分に味わうことのでき た、大変贅沢な昼のひと時でした。

(A.T.)

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