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ニューアーティスト・ランチタイムコンサート2018 in 表参道
中島 英寿 & 安並 貴史 ピアノ・ジョイントリサイタル 開催レポート
2018年10月19日(金) 12:00開演(11:30開場)※13:20頃終演予定
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 

 これから羽ばたこうとする若く優秀な演奏家を紹介するニューアーティスト・ランチタイムコンサート2018 in 表参道。この日の出演者は、中島英寿さんと安並貴史さんのお二人。

 前半は中島さんの登場。中島さんは名古屋出身。今年3月に桐朋学園大学を特待生として卒業し、現在は同大学ソリスト・ディプロマコースに在学中です。第7回桐朋ピアノコンペティションで第1位を受賞するなど、多くのコンクールで上位入賞しています。昨年には「桐朋学園表参道サロンコンサートシリーズ」でソロ・リサイタルを行っています。

 1曲目は、ベートーヴェンの「プロメテウスの創造物」の主題による15の変奏曲とフーガOp.35、通称「エロイカ変奏曲」です。「エロイカ」のテーマをはっきりと表し、その後に何度も出てくるテーマの変奏を力強く演奏し、骨太のベートーヴェンを表現しました。

 2曲目はリストの「巡礼の年 第2年『イタリア』S.161」より第7曲“ダンテを読んで〜ソナタ風幻想曲”です。弾き方、音の出し方はベートーヴェンと同じですが、静かなところではロマン派を感じさせ、音楽に流れがあって聴き手を飽きさせません。

 昼時にも関わらずたくさん詰めかけた聴衆から温かい拍手を得てのアンコールには、同じくリストの「巡礼の年 第2年『イタリア』S.161」より“ペトラルカのソネット第123番”を演奏し、静かに幕を閉じました。

 後半は安並貴史さんの登場です。東京音楽大学大学院後期博士課程1年に特待生として在学中の安並さんは、この日に演奏したE.v.ドホナーニの作品を研究しています。昨年の第1回Shigeru Kawai国際ピアノコンクールではファイナリストとなり、奨励賞を受賞、今年の第7回野島稔・よこすかピアノコンクールでは優勝しています。

 1曲目はベートーヴェンのピアノ・ソナタ第31番 変イ長調 Op.110です。ベートーヴェン後期の名作の一つを、確かなテクニックと構成感でしっかりと演奏し、聴いていて安心感がありました。

 2曲目はバルトークの「3つの練習曲 Op.18」より第2番。この曲は高度なテクニックが必要な難曲ですが、安並さんは細かな動きも鮮やかにこなし、流れるような音楽を表現しました。

 3曲目と4曲目は、安並さんが研究しているというドホナーニの作品。「4つのピアノ曲 Op.2」より第3番“間奏曲”と、「4つの狂詩曲 Op.11」より第3番 ハ長調です。3曲目はゆったりとした曲で、響きを大事に演奏し、4曲目はメリハリの利いた躍動感に満ちた演奏で、ドホナーニ作品の面白さが伝わってきました。

 どの曲でも豊かな響きを持っていて、しっかりしたテクニックに裏付けられた演奏だと感じました。

 アンコールにブラームスの「7つの幻想曲 Op.116」より第7番“カプリッチョ”を演奏して、聴衆から喝采を受けていました。

(K.Y.)

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