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ニューアーティスト・ランチタイムコンサート2018 in 表参道
篠永 紗也子 & 松岡 優明 ピアノ・ジョイントリサイタル
開催レポート
2018年
10月17日(水) 12:00開演(11:30開場)
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 

 今回のニューアーティスト・ランチタイムコンサートは、篠永さんの丁寧な音色の使い分けが3楽章それぞれの性格を引き出していたハイドン《ピアノソナタ 第47番 ロ短調 Hob.X、:32》の演奏で始まりました。ショパン《プレリュード 嬰ハ短調Op.45》は短調の中に垣間見える輝きを放った長三和音がとても美しく、スクリャービン《エチュード 嬰ハ短調 Op.42-5》では時々体を椅子から浮かせて体重を指にかける動きが見られ、篠永さんの情熱をピアノに傾ける姿勢が十分に伝わってきました。最後に、ラヴェル《夜のガスパール》が演奏されました。一曲目「オンディーヌ」では、現実と夢の境目が溶け合っているような幻想的な響きに包まれました。水の精オンディーヌが涙を一筋流すシーンである終盤の右手の単音の旋律では、篠永さんはペダルをかけることで、オンディーヌを縛っていた悲しみという感情が狂気へと変わる直前の余韻を、見事に表していました。三曲目「スカルボ」では卓越した技量が際立っていました。

 続いて演奏された松岡さんの演奏は、混じり気のない音色が印象的でした。スカルラッティ《ソナタ ニ長調 K.96》ではその音色が凛とした明るさを現出し、一方シューベルト《即興曲集 D.899,Op.90 より 第1番 ハ短調》では、寂寥感に磨きをかけていました。次のラヴェル《鏡》で二曲目に演奏された「悲しい鳥たち」において、しんとした森の中の自然音だけを感じ取るかのような神聖な心地になりました。プログラムの最後にはメトネル《6つのおとぎ話 Op.51》より第1番、第5番、第6番の三曲が演奏されました。メトネルの特徴として、20世紀の同時代の作曲家に比べロマン派的な旋律を保守したことが挙げられますが、松岡さんの演奏は内省的な感傷性に浸るのではなく、むしろ聴衆と感情を共感しようと、まさに音楽を通してお話を読み聞かせているような気分に会場全体が包まれていました。

 お二人のこれからのご活躍を期待させる演奏会となりました。

(M.S)

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