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横山 瑠佳 ランチタイムコンサート 開催レポート
東京藝術大学ランチタイムコンサート2018 in 表参道
<大学院音楽研究科修士課程1年生によるピアノリサイタル vol.11>
2018年10月9日(火) 12:00〜12:45(11:30開場)
会場:カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」
10月9日の東京藝術大学ランチタイムコンサート2018 in 表参道〈大学院音楽研究科修士課程1年生によるピアノリサイタル vol.11〉は横山瑠佳さんのご出演でした。今回のプログラムはベートーヴェンのピアノソナタ第29番変ロ長調Op.106「ハンマークラヴィーア」一曲でした。4楽章からなるこの曲は演奏時間が45分超えという大作で、高い集中力と技術が求められる難曲です。ベートーヴェンが当時、50年後に弾ける人が現れるだろうと言ったという逸話が残っているほど!(実際は作曲後約20年後にリスト、クララ・シューマンがレパートリーとしていたそうです)
第一楽章は壮大な第一主題で始まり、引き締まった和音で奏でられ、向かいたい先が感じられる強いエネルギーを持った冒頭でした。続く第二主題は対照的に穏やかで、左手が徐々に下降し響きが広がっていき、繊細ながらもたっぷりとした表現。展開部から最後まで緊張感を持って進みました。続く第二楽章はとても短い楽章で、パワフルでキレのある演奏であっという間に次の第三楽章へ。Adagio sostenutoの第三楽章は長大な緩徐楽章で、これまでの楽章と比べて音に深みがより感じられました。しっとりとした旋律には一音一音芯があり、何かを訴えかけているかのよう。深く沈んだ左手の音色など、丁寧に音を聴きながら演奏されているようでした。その意識は最後の和音まで。豊かな倍音が響く中静かに第三楽章が締められました。最後の第四楽章ははじめLargoとAllegroが交互に現れます。その後に冒頭に提示されたフーガ主題を様々な技巧を用いて展開していきます。全楽章の中で最も端正で力強い演奏でした。この大曲を、集中力を切らすことなく最後まで弾ききることが、いかに高い精神力と技術を必要とするかということが聴き手としても実感できました。
最後に、コンサートの初めにお話されたこと。横山さんは北海道出身で、帰省中の9月6日に北海道胆振東部地震に遭い、今もなお不安な暮らしを送る方々に心を痛めていました。震災で被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。1日も早い復興をお祈り申し上げます。
(W.T.)
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